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これまで千葉商科大サービス創造学部「企業実践知応用Ⅰ」特別講義の実現に至る経緯(コラムその1)と、ニュースリリース作成実習のプロセス(コラムその2)をご紹介してきました。

このコラムでは、学生さんたちの努力の結晶であるA~N全14班のニュースリリース完成版を評価コメントとともに一挙公開します。さらに評価に基づいて選定された優秀作品3班をご紹介。コラムの後半では、実際に公開・配信された昭文社ホールディングス作成のニュースリリース、そして生成AIを使って作成してみたニュースリリースも掲載しました。

それぞれを比較していただくことで、学生案の秀逸さと、書き手によってこんなにもバリエーションが増える、ということがおわかりいただけると思います。最後までお付き合いください。

※評価基準は下記の通りです。
※上記表の各項目を5段階で数値化、合計点を算出、85点満点(プレゼン評価のみ10点満点につき)
※71~85=A、56~70=B、41~55=C、26~40=D、25以下=E
※作成途上で表紙画像を最終版(校了データ)に差し替えています。ニュースリリースの作成過程ではよくあることです。それに気づいて最終版データにできた班とそうでない版で評価に差がついています。

A班「この本一発で世界資源と争奪戦を知れる!」

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評価(A~Eの5段階):E

講評:A班の評価については、各評価ポイントとも点が伸びていないため、低い評価、と感じるかもしれません。しかしながら、今回の評価基準は「実際に世に出せるリリースか」であるため、はじめて書く方がこのくらいの評価であることは当然であり、伸びしろがある、と理解していただければよいかと思います。

具体的にはドラフト案から完成版への修正、内容吟味が十分に行えていないこと、が評価に大きく影響しています。スケジュール管理、および分担の面で、今回のことを糧としていただけるとよいでしょう。

「世界資源問題」「生命維持装置」など、用語としては不適切なセレクトがあったり、注目記事の紹介で記事タイトルが誤っていたり、画像のキャプションが不正確であったり、商品のページ数が誤っていたり、という点が特に気になりました。校正・校閲までたどり着けなかった、ということかと思います。

可能であれば、しっかり修正、校正した案を再度いただいて、それに対してコメントしたいところです。ご検討ください。

B班「身近な<なぜ>が一目でわかる」

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評価(A~Eの5段階):C

講評:B班の評価については、Cということで全体の4番目、比較的高い評価となっています。スケジュール管理とリリースの仕様、構成への理解といった観点で高い評価となりました。6月19日の提出期限以降にも自ら修正点をあぶりだし、改善版を再度提出しているのもすばらしいです。今回の評価は19日提出版ですが、追って最終版も評価してご連絡いたします。

内容面では、オリジナルのデザインを採用し、横書き2枚構成としたり、色もシンプルかつ見やすい落ち着いた青を選んでいて、見やすさへの追求ぶりが印象に残ります。

見た目だけでなく文章についても、ドラフト案段階のこちらの指摘(赤字)に対し、真摯に検討し直した跡がよく見られ、内容のある文章に仕上がっていると思います。

キャッチフレーズやタイトル周りは、最初からオリジナリティと引きのある内容になっていたのもすばらしいです。

さらによくするとすれば、情報の正確性と、歴史的背景への理解、だと思います。表紙画像が古いものである点が残念でした。また「本書の特徴」欄について、資源の問題がどういう経緯をだどって今に至るのか、遡って記述することができてはじめて、「この本の内容をより深く理解した上での紹介」になると感じます。

C班「日本の資源は世界に助けられている」

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評価(A~Eの5段階):D

講評:C班の評価については、Dということで、今回の14班の中では平均的な出来でした。デザインは基本フォーマットを踏襲し、オーソドックスな仕上がりですが、その分、キャッチフレーズはわかりやすくしかも本の趣旨をよく表しており、その点の評価が高くなっています。

より詳しく見ていくと、情報の正確性、商品理解、スケジュール管理のところで改善の余地があります。せっかく「主な構成」のところでページ数を入れるというすばらしい工夫をしたのですが、そのページを一定のルールにしたがって正確に記述する、というところまで至りませんでした。またキャプションもページタイトルにしたいのか、章ごとの大タイトルにしたいのか、ハッキリしない点が気になります。商品理解の面では、資源の歴史的背景への研究不足が感じられ、その分「企画背景、社会とのかかわり」の説得力がやや足りない結果となりました。それらも含め、入念に練って出せなかったのは、スケジュール管理に起因するところも大きいと思います。

キャッチがよいものであるだけに、それと結びついた文章、誌面構成というところまで行き届かせることができると、より訴求力のあるリリースになると思います。後日提出されたバージョンを追って評価して戻しますので、その点が改善されているかどうか、よく見たいと思います。

D班「『スッと頭に入る』シリーズ最新作!」

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評価(A~Eの5段階):D

講評:D班の評価については、Dということで、今回の14班の中では平均よりやや下回るくらいの評価です。1枚目のデザインやキャッチなどタイトル周りに工夫が見られたのはまずまずだったのですが、表紙画像が古いものだったり、発売日が「2023年6/30」のようにどっちつかずの表記だったり、私から戻した指摘(赤字)の文言を吟味することなくそのまま転載してしまったり、という点があり、低く評価せざるを得ませんでした。

構成面から見ますと、サブタイトル、「企画背景、社会情勢とのかかわり」、主な構成、注目記事、いずれもエネルギー資源および日本の自給率の低さに内容が偏ってしまい、しかもそれらの連携も弱いことから、この本の特徴、よさがしっかり前に出てこないところが残念でした。主軸をエネルギー資源と日本の自給率にするなら、それとキャッチ、画像、注目記事を効果的に結び付け、近くに掲載するなど工夫しつつ、さらにこの本にはこんなことも、あんなことも載っているよ、と幅の広さをアピールする、そうした工夫ができるように思います。

消化不良気味だったのはスケジュール管理によるところも大きいと思います。スケジュールになかなか間に合わなかったため、検証、校正の時間がとれないのは致し方ないでしょう。ただドラフト案から完成版までの仕上げ努力は、大変なものがあり、そこは評価したいと思います。

E班「経済を回す『資源』と激化する『争奪戦』の行方!」

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評価(A~Eの5段階):D

講評:E班の評価については、Dということで、今回の14班の中では平均よりやや下回るくらいの評価です。特に1枚目のタイトル周り(キャッチやサブタイトル含む)について、オリジナリティを出したかったのかもしれませんが、肝心な商品名を途中で切って表現していたり、争奪戦を強奪戦としてしまったり、目立つところでケアレスミスが出ています。また文章中にも「物価高の高騰」とあったり、画像キャプションに誤植(エネルギー事業✕事情が大転換)があったりと、説得力の面でもファクトの面でも、校正・校閲が不足していることが露呈しています。

いい点として、ニュースリリースの仕様、構成のレギュレーション理解は比較的できているほうでした。プレゼンもよいものでした。それだけに、1枚目の練り方がもっとしっかりすれば、なかなかのリリースになると思います。

この本はエネルギー、ウクライナ、自給率以外にも面白いページが数多く掲載されています。メインテーマである「資源」そのものへの考察、歴史的背景の理解を深めていただくことで、本書の特徴をより打ち出せると思います。今後、物事に当たっていく際も、そうしたところに注力していただけるとよいのかな、と感じております。

F班「北極の資源を争奪しあう?」

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評価(A~Eの5段階):D

講評:F班の評価については、Dということで、今回の14班の中では平均的な評価です。キャッチフレーズなどタイトル周りや一枚目のデザイン、「本書の特徴」の文章の練られ方、「注目特集・記事」のところなど、随所に工夫、がんばりが感じられ、高評価となりました。

一方、事実(ファクト)という点では、残念な評価となっています。紹介している誌面画像の縦横比がおかしくなっている点、「本書の特徴」で述べている内容が本書のどこに書いてあることなのか、根拠を示せていない点が、本来ニュースリリースが持つべき信頼性に大きな影を落としてしまいました。

それから、北極圏のことが多くなり過ぎて、多くの特集が記載されている本書の内容を正確に訴求できていないようにも思います。1枚目だけでは北極圏だけの本に見えます。

ニュースリリースの仕様、構成に関する理解はある程度あるように思いましたが、行間(幅)の調整がうまくいっておらず、その分、盛り込める文字量が減ってしまっているのがもったいないと思います。

一つ、自分たちで興味深いテーマを導き出せたところは成果だと思いますので、あとはそれをもっと展開して、いくつかのテーマの集合体としての「本」であることに行きついたとき、いいニュースリリースになると思います。

G班=優秀作品につき、コラム下段に掲載します!

H班「あの人気シリーズ『地図でスッと頭に入る』待望の資源編登場!」

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評価(A~Eの5段階):C

講評:H班の評価については、Cということで、今回の14班の中では平均をやや上回る評価です。一枚目のタイトル周りはデザイン面、内容面ともによいものでしたし、全班で唯一、注釈をつけているところ、スケジュール管理、プレゼン、いずれも高評価でした。

惜しかった点はサブタイトルで「・・・それに生じて起こりうる・・・(正しくは「それがゆえに起きている」)と書いてしまっている点と、「企画背景、社会情勢とのかかわり」です。全体が「ですます調」の中、ここだけ「である調」である違和感、内容がウクライナのことに偏っている点、その点が「商品理解」に関する低評価の原因です。

二枚構成にできるのを三枚にしてしまった点、画像キャプションが抜けてしまった点など、反省点として挙げていたので、きちんと総括しているのはすばらしいと思いました。あと一歩、詰めを行なえばよいニュースリリースになると思います。

I 班=優秀作品につき、コラム下段に掲載します!

J班「生きていくうえでなくてはならない資源」

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評価(A~Eの5段階):E

講評:J班の評価については、Eということで、各評価ポイントとも点が伸びていないため、低い評価、と感じるかもしれません。しかしながら、今回の評価基準は「実際に世に出せるリリースか」であるため、はじめて書く方がこのくらいの評価であることは当然であり、伸びしろがある、と理解していただければよいかと思います。

J班の場合、ドラフト案提出、完成版提出とも遅延してしまい、かつドラフト案そのものがレギュレーション(仕様)を満たしていないものだったため、他の班と比べ、実質的な指摘(赤字)戻しがないまま、完成版へと進んでしまいました。そういう意味では、今の案がドラフト案、といってよいレベルだと思います。

具体的には、表記レギュレーションが守られず、フォントがいくつも使われ、行間が空いている、画像の縦横比が変わっている、など、内容の前に、仕上がりがメディアの方に読んでいただくには厳しい状態です。
「企画背景、社会情勢とのかかわり」についても、内容がファクトに基づいているか疑問のある文があるほか、異なる特集を無理に繋げて記述しているため、内容が正確に伝わってこない点も問題です。

できることなら、こちらの指摘(赤字)戻しを見ていただいて、もう一度トライしていただきたい、そう感じた次第です。

K班=優秀作品につき、コラム下段に掲載します!

L班「生きていくうえでなくてはならない資源」

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評価(A~Eの5段階):C

講評:L班の評価については、Cということで、全体の平均よりやや上、の評価となっています。一枚目のデザイン、キャッチやサブタイトルなどタイトル周りの練り方、ターゲット(読者)を意識した文章の内容、見せ方、こうした点が高評価でした。

低かった点としては「企画背景、社会情勢とのかかわり」において、本書の該当ページを明示するなど、根拠を明確にすることができれば、より説得力が増したと思います。また画像のキャプションや二枚目の行間(空き)調整、見出し記号(■)の統一など、細かいところへの気遣いがあれば、一枚目のデザインのよさが最後まで繋がり、よいものになったのかな、と感じました。

スケジュール管理面で、なかなか苦労したようですが、プレゼンは秀逸なものでした。センスを感じましたので、後日提出された案を楽しみにしたいと思います。追って評価してお戻しします。

M班「戦争にまで発展するほど重要なその資源とは?」

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評価(A~Eの5段階):D

講評:M班の評価については、Dということで、全体の中で平均的な評価となっています。一枚目のキャッチについてはなかなか引きのある言葉で、おっ、と思いました。文章もドラフト案への指摘(赤字)戻しに対し、懸命に考えた跡がうかがえます。

ただ、残念なことに、肝心の表紙や誌面の縦横比が崩れており、文章も「である調」が混じり、メディアの方向けの内容とは言えない、憶測めいた表現も残ってしまいました。説得力のある文章は、思い込みでは書けないものです。根拠のある、掲載内容に即した事実(ファクト)から、文章を紡ぎ出すことを心掛けていただきたいと思います。スケジュール管理は比較的しっかりできていただけに、もう少し相談し、校正をがんばれたら、と思わずにはいられません。

プレゼンも優れたものでした。あと一歩、詰めを行うことで、大きく化ける可能性のあるリリース案だと感じています。

N班「地図だからわかりやすい!」

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評価(A~Eの5段階):C

講評:N班の評価については、Cということで、全14班中5番目と、高い部類の評価となっています。スムーズな進行をしていたにもかかわらず、手違いで私の指摘(赤字)戻しが遅れた、という状況の中、質の高い完成版を提出していただいたことに感謝いたします。

具体的には、オーソドックスなデザインを採用する中、キャッチやタイトル、サブタイトルなどタイトルボックスの内容と見せ方がシンプルかつとても引きのある、秀逸なものである点が非常に価値があります。商品理解という点でも、本書の内容をバランスよく一枚目に記述できており、二枚目の掲載内容も、うまくダイジェストされていると感じました。作り手と受け手、双方の思いをうまく汲み取れている、という点では一番よいかもしれません。

誠に残念なことに、表紙画像が古く、行間(空き)設定も一部おかしくなってしまっています。全体としてまとまっているだけに、詰めがしっかりしていれば、さらに高評価になったことは間違いありません。十分B評価も狙えるポテンシャルを秘めた案でした。

では優秀作品3つをご紹介します!

第3位 K班「資源争奪戦に、砂も関係する!?」

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評価(A~Eの5段階):B

講評:K班の評価については、B、得点は58ということで、全14班の中の三番目の評価、優秀賞です。おめでとうございます。

K班の案は、特定のテーマ(砂も資源だ)というところに焦点を当て、そこから全体を作り上げていった、という点が特長です。K班のプレゼンは非常に作り込まれたもので、そこでターゲットに対する考察、今回のリリース作成の中でのこだわりが明らかにされていますが、それを見ると、アプローチとしてしっかり本のターゲット(ペルソナ)を定め、その方に対しどう訴求するのか組み立てていったことがわかりました。非常に優れた実践だったと高く評価します。

I 班やG班との差が生まれた理由は、プレゼンで明かされたことを、残念ながらリリースの中に盛り込み切れていない、ということになります。ただ、K班はその反省の下、6月23日に修正版を自主的に提出、その中ではかなり改善されていました。追って評価してお戻しするので、楽しみにしていてください。

ほか、表紙画像が古いものになっていたり、サブタイトルの内容吟味が不足していたり、キャプションのフォントや表記が違っていたり、残念なところがありました。これからの時代、AIがやってくれるところ、とも言えますが、最後に正しいかどうか判断するのは常に人間です。校正・校閲についての理解、努力が必要だと思います。

6月9日の段階で質問をしていたのが、 I 班同様、質の高いリリースにつながったわけですが、必ずしも順風満帆ではなく、ドラフト案の完成度は芳しくありませんでした。そこから完成版までのブラシュアップ度合いには目を見張るものがあると同時に、ドラフト案をがんばればトップ評価も十分狙えたかな、と感じたりもします。

いずれにしても、プレゼンの内容といい、リリースの出来といい、「企業実践知応用」の力がある班でした。自信を持って今後に向かってください。

<K班のみなさん>

第2位 G班「資源の奪い合いはすでに始まっている!」

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評価(A~Eの5段階):B

講評:G班の評価については、B、得点は62ということで、全14班の中の二番目の評価、優秀賞です。おめでとうございます。

G班の案でなんといってもよかった点は、黒い線を実に効果的に使用した非常に見やすいデザイン、レイアウトです。単にキレイ、爽やか、といった観点ではなく、情報の整理と見やすさを両立している点が秀逸で、デザイン性は一番だと思います。ニュースリリースの仕様、構成等のレギュレーション理解も高く、必須要素が効果的に配置され、かつ正確性があり安心感のあるニュースリリースです。

キャッチやサブタイトルなどタイトル周りも、最初からセンスを感じるもので、それをドラフト案の指摘(赤字)戻しによってさらにブラッシュアップしてきたので、内容をよく表ししかも興味を引くものに仕上がっています。

特に欠点のない案ですが、あえて挙げるとすると、「本書の特徴」のところの文章の説得力ですね。ここが I 班との差になっています。まとまった内容ではあるのですが、書かれている数字やファクトの引用元を明らかにしたり、編集者(監修者)視点でメディアの方に訴える、という趣旨をもう少し深掘りできれば、ニュースリリースに求められる訴求力が生まれてきます。そのためにはスケジュール管理の面で、ドラフト案の前に質問を出したり、ドラフト案の指摘をよく吟味したり、といった時間をとることも、重要です。PDCAを回す、といったりしますが、プラン→実行→確認→再検討・反映、といったサイクルを何度も回すことで、生成AIにはマネのできない文章になっていくと思います。

せっかくのデザイン力に、文章力がマッチすれば、PRやコンテンツ制作等の世界でプロになれると思います。これからに期待します。

<G班のみなさん>

第1位 I 班「物価があがった理由が分かる!資源貧国日本の現状とは」

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評価(A~Eの5段階):B

講評: I 班の評価については、B、得点は66ということで、全14班の中の最高評価、最優秀賞です。おめでとうございます。これだけの評価を得ながら、実は表紙画像は古い、発行部数の記述も古い(削除するよう指摘しておりました)、文章がややロシアのことに偏っている、注目特集・記事がない、といった減点ポイントがいくつもありました。このあたりを改善すればA評価(そのまま世に出しても大丈夫)も十分狙えましたので、もったいなささえ感じます。

よかった点は、1枚目のデザインとその内容です。キャッチやサブタイトルなどタイトル周りがよく練られ、興味を引く文言になっており、線を効果的に使い、画像も大きめかつよいセレクト、そしてなによりも、大見出し「本書を読めば、資源の重要性がわかる」とそのあとの1行目「世界はこんなにもロシアに頼っていた」という部分、ここは他の班にはない、オリジナリティあふれる表現で、文章をよく検討した結果が出ていると感じました。少ない文字数でメディアの方の興味をそそる内容になっているところがすばらしいです。

この結果を生み出したのは、そのスケジュール管理にあります。6月5日の授業から6月9日(質問締め切り)、6月14日(ドラフト案提出)、6月19日(完成版提出)とそれぞれマイルストーンを設定していたのですが、それらをスムーズに実践できた班は I 班とK班(ここも優秀賞)のみでした。ただ日程を守っただけではなく、 I 班は質問への回答、ドラフト案への指摘(赤字)戻しに対して、十分に検討した跡をちゃんと完成版のそこここに垣間見ることができます。ニュースリリースの必須要素および仕様、構成に関する理解も高く、一見地味にも見える中で、見やすさと本の面白さの訴求をしっかり両立した完成版であると思います。

プレゼンも非常に緻密でよかった上に、驚くことに、さらなるキャッチ等の改善案も記載してありました。ニュースリリースに対する理解の深さを感じました。

まだまだ伸びしろがありますので、これで満足せず、ほかにもニュースリリースを書いてみる、といったチャレンジをお勧めします。

< I 班のみなさん>

 


 

ここで昭文社ホールディングスの「本物」のニュースリリースを公開!

「資源貧国日本が<買い負け>る現実。危機を打開できるか!」

各班の完成版提出日だった6月19日は『地図でスッと頭に入る世界の資源と争奪戦』のニュースリリース公開・配信日でもありました。実際に配信されたニュースリリースを公開します。

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いかがですか?デザインフォーマットが学生さんたちの案と異なるため、デザイン面では単純比較できないかもしれませんが、レイアウトを含め、似通っている班、ありますよね。それだけ各班健闘したといえます。

この案を考えるに当たり行ったことは、まずニュース記事等で資源に関するものをよく調べて、<買い負け>というキーワードを見つけました。10~15年ほど前から水産資源でよく使われてきた言葉ですが、最近では資源、材料全般に使われる機会が増えています。

もうひとつは、目次をよく読み、全部で64テーマの記事があることを把握、それぞれの記事で取り上げられているトピックを洗い出し、登場回数をカウントしました。そうした中から、ロシアや中国の動きSDGsと資源争奪のせめぎ合い技術革新やライフスタイルの変化と資源の関係資源貧国日本の危機と将来、といった本書のテーマ、編集者や監修者が込めた思いを抽出し、ニュースリリースに反映しました。

それにしても絶対に負けられない(笑)ので、とても気合が入りました。いい経験になりました。

【参考】ChatGPTにも書いてもらいました!

発達が著しいあのChatGPT、既に業務に使い始めていますが、今回、ニュースリリース発表直後に執筆をお願いしてみました!ご覧ください。

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※ChatGPT4.0にプラグインを入れて使用しています。
※キャッチフレーズ、タイトル、サブタイトル、本文の主要部分、注目記事を作成させました。画像や細かい仕様の調整は昭文社ホールディングス広報が整えています。
※社の方針により事前に情報をAIにアップすることはしておりません。ニュースリリースのあとに情報を読み込ませています。

多少の助力はしたとはいえ、骨格となる部分はすべてAIが考えてくれました!さすが、最新版のChatGPTはアメリカの司法試験上位10%にも匹敵する知能を持つ、との評判通り、普通に業務の指示、会話をするような感覚で、わずか15分ほどでここまで書いてしまいました。

これは、書くという部分においてはもう太刀打ちできない時代が来ますね。人間はどういうところに活路を見い出せるのか、ChatGPTに相談したいと思います(笑)

挑戦した学生のみなさんの感想・反省点

プレゼン等を通じて、今回のニュースリリース作成実習を経た感想、反省点をいただきました。

◆スケジュール管理の難しさ

  • ドラフト案(最初の案)提出の時点では、できる範囲で出せばいいと思ったがそれでは十分な指摘、アドバイスをもらえない、とあとで気づいた。
  • スケジュールがうまくできなかった→ドラフト・完成版の提出が間に合わなかった

 

◆情報共有の難しさ

  • 6月9日の質問事項についてもっと班(全体)で吟味すべきだった。
  • 会議ができず、文面でやりとりしていたため受け取り方の違いがあった
  • 役割が明確になっていない箇所があった

 

◆校正・校閲の難しさ

  • 途中せっかく直したのに最後(完成版)のときに抜けてしまった。
  • プレスリリースを出す際に、訂正箇所を見逃してしまった。
  • 修正見落としの確認が不十分だった
  • 客観的に見て添削するのが難しかった
  • 不必要な情報が残っていたままになってしまった
  • 画像のタテヨコ比率を変えてしまった→著作物として変えてはいけないと知った

 

◆内容についての反省点

  • 想定読者(ターゲット)をニュースリリースに明記していなかった。プレゼンのときに説明したら「それをニュースリリースに書かないと、メディアの方に伝わらないですね」と指摘された。
  • 2枚で収められたのに、3枚にしてしまった。
  • 見出しに具体的な数字や地名を入れるべきだった。
  • 赤文字やラインの活用などデザイン上の工夫をもっとすればよかった

 

◆今回の実習で学べたこと、知ったこと

  • ニュースリリースとは何か、を学ぶことが出来た
  • プロ(仕事をしている人)の作業の正確性、速さや情報共有、スケジュール管理を間近で感じた
  • グループワークについて学んだ
  • 資源のことをよく知ることができた

サービス創造学部山田耕生教授のコメント

今回、新しく発売される書籍のニュースリリース作成の現場に触れる機会をいただき、ありがとうございます。
学生たちにとっては貴重な体験となった、商品の魅力をわかりやすく伝えるための方法や活字にして表現するまでのステップを今後、ゼミやさまざまな授業での学びに役立ててほしいです。
また、昭文社ホールディングス広報竹内さんによる14の班すべての原稿への赤入れは、編集にかける責任感と一字一句へにこだわり、プロ意識を感じました!
学生の作ったひとつひとつのニュースリリースをぜひじっくりとご覧いただき、その努力を称え今後へのエールを送っていただけるとありがたいです。

今回の実習を振り返って

6月5日の最初の講義から7月10日の優秀作品・評価発表まで、約1カ月にわたり、千葉商科大学サービス創造学部「企業実践知応用Ⅰ」を履修するみなさんとともにニュースリリース作成に取り組みました。

いきなりビジネス文書を書く、という難題にもかかわらず、各14班が懸命に学び、仕上げた文案を見るたびに「本当によくぞここまで作ってくださった」との思いがこみ上げてきます。

学生のみなさんもそうでしょうが、私にとっても資源についてたくさん調べて「どういったことが現代の世界、日本の課題であり将来どうすべきか」そのことを深く考える機会を与えてくれました。また将来を担う世代の方々が、どんな視点で社会を見つめているか、間近で知ることができたのも非常に貴重な経験となりました。

生成AIが飛躍的に発達し、そろばんが電卓に取って代わられ、手書き仕事がパソコンに置き換わったように、恐らく文章作成もほとんどをAIに委ねることになると思いますが、作成指示を出し、できた内容を吟味するのは人間です。そしてそろばんも習字も作文も、脳のトレーニングとしては今も有効な手段です。自身の文章力をトレーニングするアプローチ、ヒントをこの実習から得ていただけるなら、こんなにうれしいことはありません。

最後にこの場をお借りして、千葉商科大学のみなさま、ご参加いただいた学生のみなさま、そしてこのような機会を作ってくださった山田耕生教授に厚く御礼申し上げます。

 


 

|| 全3コラムをまとめた特設ページをご用意しました。
【千葉商科大×昭文社G】大学生が実際に発売予定の書籍のリリースを書いてみた! 特設ページ