MAPPLE×新しいスタイル

~地震、水害、土砂災害、様々なタイプの災害に加え、新型コロナウイルス感染症対策も視野に~

第一回「地図でわかる『なるほどネタ帳』」第二回「地図でいろんな長さ&大きさ比べ」に続き、令和における地図の価値を考えるこの企画、第三回は、防災についてです。
近年大きな課題となっている防災、そしてコロナ禍の下で地図の果たせる役割、というものを考察してみました。

台風や長雨による風水害が毎年のように起きています。そして大きな地震がこの数年に限っても何度も発生、これから30年以内に、南海トラフ地震や首都直下地震が起きるとされる確率も高くなっています。
こうした中、新型コロナウイルス感染症の影響で、避難所の混雑にも注意を払う必要性が増すなど、新たな視点が生まれてきました。
災害への備えは常に必須ですが、ここでは地図を活用した新時代に対応できる避難術、についてご提案します。

自治体が配布・公表している情報は多岐にわたる!

例:避難所や公共施設、給水拠点などを記載した東京都の自治体の防災マップ


これとは別に東京都都市整備局が5年ごとに発表する地震に関する地域危険度調査の結果が地図(下図)として公開されています。最新版は2018年版で、建物倒壊危険度・火災危険度に加え、災害時活動困難度を加味して総合化した5段階の指標が地区ごとに色分けされています。

出典:地震に関する地域危険度測定調査(第8回) 平成30年2月(東京都都市整備局)

東日本大震災以降、こうした情報公開がより整備され、各自治体とも工夫を凝らしています。
せっかくですので、こうした情報をより理解して活用したいものです。
それでは具体的に、あるエリアをクローズアップして、防災地図を読み込んでみましょう。

災害によって避難先を変えなくてはならない場合もある?

この防災地図には、避難場所(⇒震災時、地域全体が危険になったときに避難する場所:地図中濃い緑斜線)や拠点避難所(⇒食料等の配給や情報収集等の活動拠点の役割も担う:地図中濃いピンク)、給水施設、防災倉庫、病院、公共施設などの場所が目立つように記載されています。地震の際に慌てないよう、まずこうした情報を頭に入れることが大変重要ですね。
このエリアは、先ほどの都で作成している地震に関する危険度マップでは危険度の高い地区と低い地区が近接しているようです。そしてここは洪水や高潮、大雨の際にも浸水が予想されているようですが、複数の災害で避難路を使い分けたり、同時に発生した場合でも通用する避難所、避難経路を考えたりするには、いくつもの図や情報を頭に入れることになり、なかなか大変そうです。
そして新型コロナウイルス感染症による混雑回避も念頭に考えると、避難先の選択肢を増やしておく必要もありそうです。

そうした対策のために、この地図に手書きで情報を書き足してみたり、想定される避難経路を書き込んでシミュレーションしたりするのもとてもよい方法です。それを家庭や職場で囲んで様々な場面を想定し話し合っておくことが、防災の第一歩であり、東日本大震災を契機に、そうした取り組みを強化している方もたくさんいらっしゃると思います。

では防災意識をより高め、刻々と変わる時代の状況、要請に対応していくために、もう一歩進んで、デジタル地図を活用するとどんなことができるのか、実際に見てみましょう。

災害の際の避難シミュレーションに、地図ソフトを活用しよう!

|| データ取り込み機能
|| 描画機能
|| ルート案内・距離計測機能

これらを使ってオリジナル防災地図を作成してみると、自治体が発信している様々な防災情報を理解したり、共有したりするのにとても役立つんです!

まずはデータ取り込み機能から

自治体の防災サイトにあった拠点避難所一覧を参考に、テキストファイル(CSV形式など)を自作します。

そして、地図ソフトのデータ取り込み機能を使って読み込みます。

するとものの数十秒で、地図上に拠点避難所が表示されました!


続いて描画機能

ここに、危険度マップに示された地区ごとの色分けと、地震時の避難場所、拠点避難所それぞれを、描画機能を使って描き込みます。
※1 水色、黄色、オレンジ、濃い茶色のアミカケはそれぞれ地震に関する地域危険度1、2、3、5を表します。
※2 リンゴのマークで示している学校等は、拠点避難所に指定されている施設です。
※3 緑のアミカケは、地震時の避難場所。この自治体の場合、緊急時には避難場所にまず避難し、その後順次開設される拠点避難所(小中学校等)へ避難することを推奨しています。
※4 このほか、洪水、高潮、大雨浸水などのハザードマップもあるので、災害の種類に応じた様々な避難想定を立てておくことが重要です。

こうしてみると、それぞれの地区によって、地震の危険度には違いがあることがよくわかりますね。今回、実際に地図ソフト上で描いてみることで、地区ごとの違い、避難場所拠点避難所の場所、交通網などがリアルに感じられ、とても理解が進みました。

 

地図ソフトにはルート案内・距離計測機能も

災害は昼夜を問わず起きるものです。また家だけでなく会社にいるときに起きてしまうこともありますね。ということで、サンプルとしてオフィスの多い千代田区麹町周辺を選んでみました。
地図ソフトは地図のデザイン(意匠)を変更できますので、冬の夕方想定で
ミッドナイト表示というのを選んで、移動しそうなルートを書き込んでみました(地図中の蛍光黄緑色の線)。
このソフトにはルート案内機能がついているので、任意の地点間をポチポチと繋ぐだけで、自動的にルートを引いてくれます。そして引いたルートを選ぶと、そのルートの距離も、自動で算出してくれるのです☆
ちなみに地図中左のルートは約237メートル、右のルートは約485メートルです。ミッドナイト表示にすることで、夜間の避難に対するイメージも、しやすくなる気がしませんか?

いかがでしょうか。災害の種類や状況によって取るべき行動が違うことを、自作の地図と自治体の地図を並べて家族や職場で話しておくと、速やかな避難に繋がり、具体的な行動を迅速にとる意識も大いに高まりそうですね。
地図ソフトで残しておくと、情報の保存も更新も簡単ですので、ぜひお試しいただければと思います。

注)あくまでこれは地図を活用して防災意識を高めるための一つの活用例であり、実際の避難計画の検討、立案および避難行動の際には、勤務地やお住まいの自治体からの最新の地図、指示、情報等に従って行動するようお願いいたします。

今回活用した地図ソフト『スーパーマップル・デジタル21』には印刷機能もついていますから、紙に出力してメモ書きしてもよし、冷蔵庫などに貼っておいてもよし、です。

複数の情報を地図上で重ねてみることで、生活の安心・安全に関わる重要な知見、事実が得られることがあるということ、その価値をぜひ感じていただき、ご活用いただければと思います。

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三回に渡って地図の価値を考えてきました。長年地図の仕事に携わっている私たちも、まだまだ見逃している地図の面白さ、有用性があるように感じました。

これからもみなさんとともにそれを見つけて、商品やサービスとして提供していきたいと思います!もしこれは、という地図の面白ネタ・活用アイデアなどありましたらぜひお寄せください。


改めて「地図」の価値を考えるコラム☆
~第一回 地図でわかる『なるほどネタ帳』~はコチラから

 

~第二回 地図でいろんな長さ&大きさ比べコチラから


 

※このコラムは、地図ソフト『スーパーマップル・デジタル21』の機能を活用しました。
このソフトは、ただ地図が見られるだけではなく、地図上に自由に直線を引いたり図形を描いたりすることができて、さらには直線の距離や図形の面積も自動で計測できる、機能性に優れた業界No.1の地図ソフトです。
体験版がダウンロードできますので、興味のある方はコチラからどうぞ☆

ビジネスでもプライベートでも大活躍の地図ソフト『スーパーマップル・デジタル21』の最新情報は下記ニュースリリースをご覧ください。
https://www.mapple.co.jp/10262/

地図ソフト『スーパーマップル・デジタル21』の提供会社「株式会社マップル」のご紹介はこちらから
⇒ 株式会社マップル https://mapple.com/