MAPPLE×新しいスタイル

児童をとりまく凶悪事件が多い今だからこそ、最優先に取り組んでほしい子どもの安全管理

「テレビや新聞で報道されている『児童暴行事件』は決して他人事はありません」

昨今の小学生・中学生が被害者となった痛ましい登下校時の事件や過失事故、未就学児の連れ去りについて、茨城県守谷市立守谷小学校 吉田克也副校長は語気を強めました。

 

見守りはどの学校も一律ではありません。

生徒の見守りに取り組むにあたって、保護者の方との危険箇所や不審者出没情報の共有は必須事項ですが、子どもの通学に関して、抱えている事情は地域や学校、ご家庭によりさまざまです。人気のない通学路を歩かざるを得ない子どもの見守り。学区外の遠い通学路を心細い思いをする子を守るための施策。学童でお迎えを待つ子どもたちがいたり、すべて学校側が管理しているとも限らず、地域によっては子ども会が通学班と見守りを管理されているところもあります。

朝、今日1日への期待に胸を膨らませ、自宅を出た守谷小学校の全校生徒899名が、学びを終えて元気に帰宅する。このあたりまえとも言える安全な登下校風景を見守る責任は、教員だけにとどまらず、生徒自身の防犯意識、PTAや先ほど挙げた子ども会との連携、そして地域住民の協力がかかせません。見守りは「関わるすべての人が同じイメージを思い浮かべられること」がカギとなります。

 

 

人通りが少ない時間が発生する場所。不審者や知らない人からの声かけが確認された危険箇所。子ども110番の家の場所と数。車のスピード超過が確認された狭い道路。全校生徒一人ひとりの自宅までの通学路ルート…様々な意識の共通化のために

「これら全ての情報がひと目でわかる、インターネット漏洩の危険性がない安全な地図を用意する必要がある」

吉田副校長が選んだのが昭文社の地図ソフト『スーパーマップル・デジタル』でした。

「私、地図が苦手なんですよ。未だに駅を出ると地図をこう、回転させて(照)」地図が苦手な吉田先生が採用した地図ソフト

 

吉田副校長は59歳、来年定年を迎えられます。

1970年代の学生の頃に触ったコンピュータをはじめ、BASIC(プログラム)を組むなどPCが趣味。物理畑を歩いていた自身の経験から、自然科学の面白さを教えたいと教職の道を志したバリバリの理系出身者です。

スクールウォーズや金八先生が社会現象となっていた時代に中学校の教員を勤め、2007年から小学校に赴任されています。先生は当時を振り返り、思春期の生徒が持ちはじめた意思と向き合う教育から、小学校に入りたての子どもに接するという環境の変化や、幼い子にも伝わる言葉を探す必要性に正直戸惑ったといいます。

 

茨城県守谷市立守谷小学校に赴任して1年が経った、2018年5月。誰もが目を覆いたくなる衝撃的なニュースが全国を駆け巡りました。下校時の「女児殺害事件」。日々同じ年頃の子どもと接する守谷小学校の教師にとっては決して他人事とは思えませんでした。

事件直後、守谷市教育委員会から通学路の防犯対策の振り返りと報告を求められ、守谷小では各担任から校長に対し、一人での登下校時間が長い児童の「住所」と「氏名」が書かれた文字による名簿リストが提出されました。

吉田先生:「文字のみの名簿リスト」だけでその場にいた、校長以下の管理職が「共通の風景」を思い浮かべて「防犯を想定」出来たかと言うと、なかなか難しかったと思います。

校長がふと、各学級の名簿リストをながめながら、「学区と児童の氏名・自宅の場所を地図で俯瞰することができたら」と。

このつぶやきが、まさに通学路安全管理可視化のターニングポイントでした。

 

吉田副校長は、その校長のひとことで、当時学校事務が交通費精算(通勤経路検索用)に使っていたスーパーマップル・デジタルを思い出し、各担任が提出した名簿リストのCSVファイルを作成。翌々日には大判の紙に、全児童の名前が自宅住所(地図座標)に落とし込まれた通学路状況地図ができあがりました。

早速校長室に貼り出し、教員間で共有されました。守谷市教育委員会と守谷市の校長会長にも通学路安全管理強化として報告すると、この取り組みがモデルケースとなり、守谷市内全13の公立小中学校での「スーパーマップル・デジタル」を用いた通学路安全管理可視化が即決され、後日市教委に購入された最新版の「スーパーマップル・デジタル」が同13校へと配布されて行きました。

 

 

吉田先生:特に私が理系だからというわけではなく、スーパーマップル・デジタルは誰にでもカンタンに使用できます。守谷市内全13の公立小中学校の先生方は実際に活用されていますし。

お恥ずかしいのですが、実は私、地図が苦手なんですよ。未だに駅を出ると自分の位置をつかむまで地図をこう、グルグルと回転させています(照れ笑い)

そんな私がこの地図ソフトをおすすめする理由は、初めにお話した見守りのカギとなる「関わるすべての人が同じイメージを思い浮かべられること」を視覚的に解決できるからですね。

こんな使い方も。通学班の編成や通学路管理に適した「スーパーマップル・デジタル」

吉田先生:生徒の自宅と通学路を可視化するときに、地図ならどれでも良かったわけじゃないんです。

今はインターネット上の地図サービスやアプリがあり、無料で地図が手に入る。それでも、スーパーマップル・デジタルを選んだ理由は大きく分けて「個人情報が守られる」「大判印刷での共有で、地域連携がスムーズになる」「わかりやすいデザインにより赴任したての先生への地域特性周知が容易にできる」の3つですね。

 

個人情報が守られる

全児童の自宅と学校との登下校ルートをデータ管理する際、1番の脅威となるのが「インターネットへの個人情報流出」です。
スーパーマップル・デジタルは、オフライン地図ソフトですので、インターネットセキュリティに詳しくなくとも安心して使用することができます。

大判印刷での共有で、地域連携がスムーズになる

スーパーマップル・デジタルなら、学校にあるプロッター(授業などで使用する大判用紙印刷機)を使用し、A1(A4用紙の8倍の大きさ)などの大きな用紙への印刷が可能です※。他のサービスだと解像度が足りなかったり、そもそも大きなサイズが指定できなかったりします。PTAの会合や警察の方が訪問された際に、全体地図を見ながら見回り強化を依頼したり、指導していただけたりするので、認識の共通化がスムーズです。
※A2、B3以上の大判用紙への印刷はプリンターの性能により対応できない場合がございます

わかりやすいデザインにより赴任したての先生への地域特性周知が容易にできる

小中学校の異動は大体3年程度と頻繁に発生します。新しくこの地域に赴任される先生にも「ここは街灯が少ない」、「夕方は大人の目が少なくなる」、「道幅が広く、車の速度が出やすいことから、連れ去りが起きやすい」など、距離感や住居数、商業施設が理解しやすいスタンダードな地図デザインが特徴のスーパーマップル・デジタルなら、より具体的に地域特性への理解を深められます。

 

 

吉田先生:学校で子どもたちの安全を確保することは責務ですが、できることが限られている上に、年々難しくなっています。そうした中でどんなちょっとしたアイディアでも良いから、やれることで少しでも安全確保につながるんだということを知ってほしいです。

私は来年退職しますが、守谷小の学区で実施しているMVP(守谷ボランティアプロジェクト)のように帽子とバッジを付け、学校や保護者の方との連携で登下校の見守りをすることはもちろん、この地図ソフトを活用した、守谷小での安全管理の経験を教育現場でお話しして行くなど、これからも子どもたちの安全確保に少しでも貢献できたら、と思っています。

 

 

吉田先生:…そんなことを考え始めた頃だったかと思います。

スーパーマップル・デジタルを企画開発する、昭文社のビジネス開発本部 事業開発部長さんから「私、守谷小学校出身の…」とご連絡をいただいたのは。

 

つづく。

 

吉田先生の通学路安全管理・サイドストーリーはこちら

 

文・写真:鹿間 晶子