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コラム

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「まっぷる温泉&やど」「まっぷる日帰り温泉」などの編集に携わり約20年。昭文社出版制作本部の高垣聡は、まっぷるの“温泉博士”として 知る人ぞ知る存在です。大阪観光大学観光学研究所の客員研究員として温泉観光実践士の育成にも尽力する異色の顔をもちながら、屈託なく「ただ温泉が好きなだけ」とも語ります。いまでも年間50回前後温泉に足を運ぶ生粋の“温泉フリーク”が、温泉と歩んできたエピソードを語ります。

子供の頃から温泉好き

温泉が好きになったきっかけ、特にないんです(笑)。子供の頃から家族で温泉旅行に行くのが大好きでした。だからもちろん「まっぷる温泉シリーズ」を担当する前から随分たくさんの温泉巡りをしていましたね。「仕事で沢山の温泉に行けるなんてうらやましい」とよく言われますが、実際はこれまでプライベートで訪れた温泉の情報や経験が仕事に活かされている感じです(笑)。わたしは特に、これまで行った温泉地域や温泉宿の数なんて数えたことがなかったんですが、ふと思い返せば、日本列島を北から南まで見わたしてみると、高知、福岡、長崎、佐賀、そして沖縄以外はすべての都道府県の温泉に訪れたことがありました。もちろん近い将来すべての地域の温泉にぜひ訪れたいですね。

ただの温泉好きから“温泉博士”に!?

わたしは温泉が大好きですが、押しつけがましく温泉の魅力を語るのは好きではありません。温泉の楽しみ方についても、堅苦しいものではなく、それぞれがそれぞれの楽しみ方でもって、「温泉の心地よさが心身に滲みこんで癒してくれるような気分」を味わえばそれが一番良いと考えています。
ただ、大きな転機になった出来事というのがありました。2004年のいわゆる「温泉偽装問題」です。これを機に、ただの「温泉好き」という立場から「温泉について正しく理解すること」の必要性とそれを広めるサポートをすることの重要性を認識するようになりました。
わたしたちが考える古来伝統的なイメージとしての「温泉」と法的な定義による「温泉」は、実は一致していません。当時は、マスコミや世間の「温泉」についての無知や誤解により、伝統的な温泉地や宿にも飛び火的な、いうなれば“魔女狩り”的なバッシングがありました。そのことにとても心を痛めましたね。
それ以降、「まっぷる温泉シリーズ」本誌でも「温泉について」という記事を掲載してみなさんの疑問に答えるサポートをしています。これからもそのような活動でささやかながらお役立ちできればと願っています。

100名以上の温泉観光実践士に尽力

2008年から縁があって大阪観光大学の客員研究員として活動させていただいています。温泉観光実践士育成のための講座を一コマ受け持っているのですが、様々な受講生がいらっしゃってわたしにとっても刺激となっています。全国から宿やホテルの関係者、宿のコンサルタント、温泉施設のメンテナンス業者、そして自治体の担当者やマニアの方など熱心な受講生が集まります。なかには、出版関係者や温泉ソムリエ、別府八十八湯を巡った「名人」などもいらっしゃって、温泉を学ぶ顔ぶれが実に多彩です。
温泉観光実践士については、もちろん大学で学ぶ“講座”ですのでアカデミックな側面が強いのですが、温泉は本来「自分が心地よく感じる」ことがなによりの効能です。「まっぷる温泉シリーズ」の読者のみなさんにはぜひ「自分にあった温泉を自由に見つける旅」の“楽しさ”を味わっていただきたいと思っています。

これからの活動と温泉への思い

「まっぷる温泉シリーズ」の編集と併行して、今年(2011年)の夏まで、森祐紀のペンネームで執筆していたメールマガジンがあります。バックナンバーがいまでも閲覧できますのでご興味があればぜひご覧下さい。「まっぷる温泉シリーズ」とはひと味違う切り口で、きっと楽しんでいただけるのではと思います。
この度、最新版の「まっぷる温泉シリーズ」編集するにあたって、あらためて“癒し”を求める世の中の雰囲気を感じました。東日本大震災以後、人生の価値感について大きな見直しがあって、便利で快適な暮らしの在り方について考えることや、凝り固まった心をいまもう一度さっぱり洗い流してほぐす必要を、みなさん感じておられるのではないでしょうか。温泉という、日本人と縁深い豊かな楽しみを見直すことで、そういったライフスタイルや価値感の変化について、ゆっくり思いを巡らす機会になるなら、そのきっかけづくりを微力ながらお手伝いできれば幸いです。

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