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若者の街というイメージの渋谷。そんな渋谷にも、大人が楽しめる落ち着いた雰囲気のエリアがあるんです。それが、いま人気上昇中の「奥渋谷」と呼ばれるエリア。渋谷駅周辺の喧騒を離れ、上質で洗練された雰囲気のお店をめぐることができるこのエリアは、まさに大人の休日にぴったりです。今回は、昭文社の東京ガイド本を手がけた編集者2人に、大人な渋谷「奥渋谷」の魅力をたっぷり語ってもらいました。

 

 
のんびりとした環境のなか、所々に思わず足を止めたくなる洒落た雰囲気のお店が点在し、大人たちに親しまれている場所、それが奥渋谷です。
 

渋谷駅より北、井ノ頭通りから西を奥渋谷と称しています
 
渋谷駅から代々木方面に広がる奥渋谷エリアの魅力の秘密は、その地理的・歴史的な背景にありました!今回は東京の街歩きのプロの2人に、大人の奥渋谷エリアについて聞いてみました。

 

『まっぷる東京ベストスポット』
を担当!
市来恭子さん


まっぷる編集部所属。まっぷるマガジンや家族でおでかけシリーズを担当。飲食店や雑貨店などを巡りながら、その街の空気やトレンドを感じ取るのが得意。
 

『ことりっぷ 特別編集 東京案内』を担当!
中村あゆみさん


ことりっぷ編集部所属。ことりっぷマガジンやガイドブックを多数担当し、普段から「ことりっぷ的」なお店のチェックは欠かさない。街の成り立ちなど歴史にも興味あり。
 

<どうして「いま」、奥渋谷なんですか?>

中村:数年前から少しずつ話題にはなっていた奥渋谷エリアですけど、最近かなり成熟してきたというか、歩きがいのある街になってきた感じがしますよね。
 
市来:そうですね。最近ゲストで呼んでいただいた元NHKアナウンサーの住吉美紀さんのラジオ番組(東京FM 東京スミさんぽ)でも「面白い街」として奥渋谷のことを取り上げたのですが、住吉さん曰く、このあたりは昔から「NHKの渡り廊下」とも言われていたそうなんです。関連会社に行くときに、宇田川遊歩道やその付近の路地を通るから、ということで、渡り廊下(笑)。それが、最近になって注目を集め始めたのに驚かれていました。
 
中村:近隣の方たちにとっての生活動線である路地はその地域らしいお店が集まりますから、奥渋谷の外に住んでいる私たちにとってはおもしろかったり魅力的だったりするんでしょうね。
私、実は渋谷駅周辺があまり得意ではなかったんです。若い子が多くて賑わってはいるけれど、自分の趣味に合うお店はあまりないと感じていたので…。でも、渋谷の顔はそれだけじゃない、ということをぜひ紹介したくて。『ことりっぷマガジン 特別編集 東京案内(以下『東京案内』)』でも奥渋谷を6ページにわたって特集しています。
 
市来:確かに、何か用事がないといかないという方、多いですよね。私も以前は友人と会うときなど「えー、渋谷駅?他の場所にしようよ」なんて言っていたものですが、奥渋谷エリアを歩くようになってからは、「渋谷集合?いいね!」って思うようになりましたよ(笑)。
私も『まっぷる 東京ベストスポット』で奥渋谷エリアを取り上げました!まっぷるマガジンの読者の方向けなので、たくさんのお気に入りのお店からファミリーやカップルでも使いやすいお店を厳選しましたが、載せたいお店がたくさんで選ぶのが大変でした(笑)。
市来:私は、渋谷から奥渋谷エリアに向かって東急文化村から神山町に抜けるバス通りから宇田川遊歩道やその周辺の路地を散策することが多いです。この宇田川遊歩道というのはその名の通り、川が流れていたルートなんですよ。渋谷は一番低い「谷」になっているところなので、そこから流れを遡るように登っていくと、人や建物がぎゅっと詰まった渋谷駅のスクランブル交差点から喧騒を抜けて、どんどん街の印象が変わっていくのがわかると思います。

 


エリアを横切って渋谷駅方面に流れる宇田川
中村:代々木八幡駅周辺の路地も面白いですよ!『東京案内』でも紹介した「365日」(ことりっぷWEBでも紹介中!)というパン屋さんがあって、ふらっと立ち寄ることも多いです。このあたりの線路沿いの細い路地は、河骨川(こうほねがわ)という、これも昔の川の跡なんです。(地図を見ながら)実はこの川が童謡の「春の小川」の舞台になっているんだとか。
市来:渋谷の賑わいって、今でこそ若者の街、若者文化の発信地!というイメージですが、実は関東大震災の影響で、浅草から渋谷に引っ越してきた人たちが渋谷の賑わいの基礎を作ったと言われています。それまでは、東京一の繁華街といえば浅草で、渋谷あたりは川の流れる静かな街だったようです。今、渋谷・奥渋谷エリアで老舗と言われるようなお店が創業50年とか60年だったりするのには、実はそんな歴史的な背景もあるんですよね。
 
中村:ここ数十年の間に、若い頃は渋谷の中心街で遊んで、大人になったら落ち着いた神山町あたりに住んで、結婚して家族が増えたら、代々木方面に引っ越す…といったような流れがあるみたいです。
いい意味で力の抜けた、シンプルだけど洗練された街のイメージは、そうやって住む人たちが作り上げていったのかな、と思いますね。
 

<奥渋谷の魅力を一言で言うと…?>

中村:「ナチュラルでマイペースな人々が、等身大で文化を育んでいるところ」ですかね。自立した大人が、思い思いに時間を楽しめる街だと思います。旅好きなオーナーさんも多くて、海外の料理や日本の工芸品など、旅先で自分が感じた「いいもの」を持ち帰って私たちに教えてくれる。あるセレクトショップで、私が以前から注目していた富山県の高岡鋳物のカトラリーを見つけたときは嬉しくなりました!
 
市来:「居心地もモノも良いけれど、スタイリッシュすぎない生活感があるところ」が魅力ですね。大人の身の丈にあった、暮らしのなかに取り入れやすいものが沢山ありますし、どのお店も個性的だけれど、気負わずリラックスできる雰囲気は共通しているような気がします。

 

奥渋谷エリアを歩くときは必ず立ち寄るという、お二人のおすすめのお店を聞きました!

市来:午前中に奥渋谷を通るなら、まず行きたいのはここですね!近隣の3つのベーカリー(カタネベーカリー・タルイベーカリー・365日)から毎朝仕入れたバゲットを使ったサンドイッチはどれも絶品です!特に、この「パルマ産生ハムと大葉、ゆずとバターの香り」は生ハムと大葉という意外な組み合わせがクセになる美味しさ。バニララテや塩キャラメルラテなど甘い種類のラテも美味しいんですが、サンドイッチと一緒ならスタンダードなカフェラテがおすすめです。一杯ずつ丁寧に淹れてもらえるので、仕事の合間でもほっと落ち着けるんです。

 


数量限定の「すしやのたまごサンド」を買うならお早めに!

また、定番の「すしやのたまごサンド」は焼き目のないきれいな卵焼きの甘さとからしのアクセントが効いて、こちらも絶品です。午前中で売り切れてしまうことも多いようなので、早めの時間に是非訪れてみてください!(たまごサンドの注文は、1人1つまでとなっています。※2016年10月時点)
 
CAMELBACK sandwich&espresso
(キャメルバックサンドイッチアンドエスプレッソ)
TEL:03-6407-0069
住所:東京都渋谷区神山町42-2
営業時間:10:00~19:00
定休日:月曜日
 
 

中村:2012年6月にオープンしたSHIBUYA CHEESE STANDは、なんとその日作ったばかりの新鮮なチーズを食べることができる場所なんです!オープン以来、じわじわと人気が高まってきて、ご存知の人も多いのでは。以前ことりっぷ関連の「おとりよせメニュー」としても取り扱ったことがありますが、今や日本中から注文が入る人気店です。チーズの製造は毎日13〜14時ごろまでなので、出来立てが食べたい方はランチタイムが狙い目ですよ!

 



中村のおすすめは左のブッラータというチーズだそう

ひとくちにチーズといっても、扱う種類も様々ですから、通ううちにチーズの種類にも詳しくなれますよ。また、夜も平日は23時までオープンしているので、仕事終わりにふらっと立ち寄ってチーズとワインで一杯…なんて、大人な使い方もおすすめですね。
 
SHIBUYA CHEESE STAND
(シブヤチーズスタンド)
TEL:03-6407-9806
住所:東京都渋谷区神山町5-8
営業時間:
火~土曜 11:00~23:00(L.O.22:30)
日・祝
11:00~20:00
定休日:月曜日(祝日は営業、翌火曜日休み) 臨時休業有
 
 

中村:宇田川遊歩道から少し外れたところにあるこのお店。一見、お花屋さんのようですが、実はセレクトショップ。生花、ドライフラワー、鉢植えなどの植物以外にも、花器や洋服、アクセサリーといった雑貨の販売や、カフェ営業もされています。
このお店の好きなところは、セレクトされたアイテムの一つひとつの上質さ。ヨーロッパのアンティーク品や地方在住の作家さんの作品など、「まさか渋谷でこれが手に入るなんて!」という出会いがあるかもしれませんよ。
 



店内右奥のテーブルではカフェとして利用できる

ヨーロピアンな雰囲気がありつつも、日本のお家にもしっくりと馴染んでくれそうなお店のインテリアやお花の飾り方は、いつ訪れても参考になります。定期的にワークショップなどのイベントも行われているので、facebookページもチェックしてみてくださいね。
 
pivoine(ピボワンヌ)
TEL:03-3465-1193
住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-19-3 山栄ビル 1F
営業時間:11:00~19:00
定休日:不定休
 
 

 

市来:ちょっとゆっくりしたい朝や、友人とおしゃべりをしたいときにはここ、BONDI CAFE YOYOGI BEACH PARKがお気に入りです。東京の真ん中に居ながらビーチを感じられる、というコンセプトの通り、明るい色合いのサーフ系インテリアでまとめられたこのお店は、こぢんまりしたお店の多い奥渋谷エリアの中でも開放感があって居心地がいいんです。ちなみに、芸能人の方の来店も多いみたいですよ。

 



ミニサイズのアサイーボウルをデザートに

いつも注文するのは、たっぷりのフルーツが嬉しいアサイーボウル。ランチメニューのカレーもオススメです。そうそう、15:45までランチメニューが食べられるのも、休日はスロースターター、という方には嬉しいポイントかもしれません(笑)。
 
BONDI CAFE YOYOGI BEACH PARK
(ボンダイカフェヨヨギビーチパーク)
TEL:03-5790-9888
住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-15-2 Barbizon55 1F
営業時間:9:00~翌02:00
定休日:年末年始

中村:代々木公園からすぐのリズム&ブックスは、交差点の手前、白い看板が目印です。小さな店内に所狭しと並んだ古本に圧倒されてしまいます。
チェコやロシアなど、あまり見かけない国の絵本がたくさんあるのも面白いです。実はチェコは絵本大国なんです。もぐらの「クルテク」など、日本でも知られているキャラクターもいますよね。そんなチェコのヴィンテージ絵本や、文字が読めないところも魅力的なロシアの絵本などはプレゼントやインテリアにおすすめです。
 



実はキノコ好きにも有名なお店!? 

店の一角を占めるキノコの図鑑や絵本はオーナーの奥様の趣味だそう。キノコが登場する絵本や画集から、図鑑や文献まで、キノコ好きな方なら一度は訪れてみてはいかがでしょうか?
 
リズム&ブックス
TEL:03-6407-0788
住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-9-15 星ビル1階
営業時間:平日 12:00〜22:00 / 土日祝 12:00〜20:00
定休日:不定休
WEB:http://rhythm-books.com/

市来:Little Napとは、「ちょっといねむり」という意味だそう。リトルナップコーヒースタンドは、はるのおがわプレーパークのほど近く、線路沿いに位置するお店です。こぢんまりとした店構えですが、店内のインテリアがとても素敵なんです!さらに、コーヒー系のドリンク以外にも、レモネードやアイスクリーム、焼き菓子なども美味しくて、お子さん連れの方にも立ち寄りやすいのも嬉しいお店です。

 



子ども達が遊ぶ声や電車の音も心地よい

店内のイートインスペースでゆっくりしてもよし、晴れた日には外のベンチでのんびり日光浴してもよし。アットホームな雰囲気が好きで、いつもついつい立ち寄ってしまいます。
 
Little Nap COFFEE STAND
(リトルナップコーヒースタンド)
Tel:03-3466-0074
住所:東京都渋谷区 代々木5丁目65-4
営業時間:9:00~19:00
定休日:月曜日
 
 

 

中村:最近ではフードイベントなどでもたまに見かけることのある、アルゼンチンのソウルフード「チョリパン」。お店で食べるならやっぱりここですね! じっくり火を通したチョリソーをパンにのせて、たっぷりの野菜とソースで味付けしていただきます。アルゼンチンのチョリソーは豚ではなく牛を使っているのが特徴。ボリュームたっぷりですが、味は意外とあっさりしていて食べやすいんです。初めて食べると、驚くと思います。

 



しっかり焼き色がついたチョリソーがおいしそう!

通常のチョリパンもいいですが「カスタムチョリパン」で野菜とソースのバランスを変えながら、自分の好きな味を見つけるのも楽しいです。お酒にも合うので、休日はビールやアルゼンチンワインと一緒にどうぞ!

Mi Choripan
ミ・チョリパン
TEL:03-5790-9300
住所:東京都渋谷区上原2-4-8
営業時間:
月〜土曜 11:00〜22:00
日・祝 11:00~20:00
定休日:火曜、第2、4月曜
(祝日の場合は営業)

 
中村:「渋谷」というと、ついつい敬遠してしまっている大人の方って多いと思います。でも、少し足を延ばせば本当にのどかで、落ち着いた雰囲気の場所があることを是非知っていただきたいですね。
 
市来:渋谷だけではないですが、賑わっている場所はお店の入れ替わりも早いもの。ガイドブックを作っていても、次の年にはもうそのお店がなくなっている…なんてことも少なくありません。でも、奥渋谷は流行りを追いかけるのではなく、良いものを長く提供し続けてくれるお店が多いように思います。頻繁に訪れるわけではないけれど、いつもそこにあるお店、ずっと通い続けられるお店がある、というのはいいですよね。
 
中村:それでいて、いつも何かしら発見があるのも魅力です。新しいメニューや季節のお花、新しいお店も少しずつ増えているみたいですから、まだまだ散策しがいがあるな、と思います。
 
市来:今回は昼間に散策して楽しいお店をたくさん紹介しましたが、奥渋谷は夜も面白いんです。大人の読者の皆さんはぜひ、奥渋谷の素敵なバーやレストランも探してみてくださいね。
 

 
 
 
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まっぷる東京ベストスポット ことりっぷマガジン
特別編集 東京案内

 

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