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山開きを迎え、8月11日には国民の祝日「山の日」を控える今、登山を実際にやってみようかなと思っている人も多いのでは?ただ、初心者の登山には不安がつきもの。そこで、今回は登山愛好家にはおなじみ、「チーム安全登山」という安全に登山を楽しむ活動も行なうコミュニティサイト「ヤマレコ」の代表・的場一峰さんに、安全な登山の心がけや楽しみ方などを伺ってきました。

プロフィール
的場一峰
大学卒業後、株式会社富士通研究所にてネットワーク技術の研究員として研究開発に従事。2013年7月に株式会社ヤマレコを創業。現在、株式会社ヤマレコ代表取締役社長を務めている。

●ヤマレコ
https://www.yamareco.com/


撮影/木田 裕介

登山記録をはじめ、計画を立てられたり、掲示板で交流したり、登山愛好家なら知らない人はいない登山専用コミュニティサイト「ヤマレコ」。運営している的場さんも、もちろん登山愛好家の1人です。そんな的場さんに、自身が山に魅了されるわけ、それから登山ブームの現状や、登山で気をつけるべきこと、今後の展望などを語っていただきました。登山人口が増える今、安全に楽しく登山をするためには一人ひとりの意識が大切になってきています。そのあたりのお話もぜひ参考にしてみてください。

山に登り始めたのはいつ頃からですか?
的場さん(以後的場):
子どもの頃から山に連れて行ってもらっていたと思うのですが、特に記憶に残っているのは小学校4年生ぐらいのときに富士山に連れて行ってもらったことでしょうか。早朝のまだ薄暗いときから始めて、その日の夜までかけて登った記憶があります。まだ子どもで体力的にはつらい登山だったと思うのですが、「楽しかった」イメージだけが残っています。そのあと近場の山に登ったり、上高地で穂高を見た際に「あの山は登れる山なんだよ」と教えられ、いつか登ってみたいと思ったりしていました。そのあたりが影響したのか、高校までは陸上部だったんですけど、大学では誰に誘われるでもなくワンダーフォーゲル部の門をたたいていました。
「ヤマレコ」はどういう思いで立ち上げたのでしょうか?
的場:
その後は「カモの会」という社会人山岳会に入っていて、そこで会報制作の担当をしていたんです。メンバーから写真や文章を集めて冊子を作っていたんですが、それが結構大変で。各自で登録できるシステムがあればと思い、「カモレコ」という会員専用のサイトを作ったのが始まりです。この輪が一般の人にも広がるとおもしろいことになるんじゃないかという感覚で、趣味の範囲として「ヤマレコ」を立ち上げました。今でこそ遭難を防止するという位置づけでいろいろ活動をしていますが、もともとは「作ることが楽しい」という純粋な気持ちから生まれたものです。

初心者がまず山に登ろうと思った際にすべきことはなんですか?
的場:
まずは行く山の最新の情報をしっかり収集し、最低限の準備をすること。そして道具の準備。例えばログが取れるような時計、スマートフォン(およびバッテリー)、地図などです。山歩きでは常に、「目的地」と「自分の現在地」を意識する必要があります。『山と高原地図』のような俯瞰で把握できる紙の地図と、スマートフォン(アプリ)、GPS付きの時計など、現在地がわかるITの力を活用するのがいいと思います。ほかに必要な装備、行動食などに関しても、今はすぐに事前に調べられるので、最低限の準備まではみんなすぐできると思います。あと、個人的に本当に必要なのは「師匠」「先輩」だと思っています。疲れないための足の運び方、重心の移動方法、ペース配分、日程の作り方……そういうことを教えてくれる先輩がいれば最高ですね。そして、何度か登るようになると、基本的には山の情報収集として「ヤマレコ」を使うことが多くなると思います。行きたい山が決まっていない場合は、人気の山行記録を見て、こんな山に行ってみたい、というところを見つけていただくのがいいのかと。みんながどの時期にどの程度の山に登っているのか、という情報も見ることができますし。
自分のレベルに合った山の選び方は、何を基準にどう選んだらいいですか?
的場:
「ヤマレコ」では、今月のおすすめの山の情報を毎月10件前後記事にしています。おすすめの理由(テーマ)があって、例えば高山植物を楽しめる山だったり、お手軽に絶景を楽しめる山だったり。ロープワークが必要になる中級から上級者向けのルートもあり、季節や技術・体力のレベルなども掲載しているので、記事を読んでいただければ自分のレベルに合った山を選ぶ参考になると思います。行きたい場所が決まったら、実際に行かれた方の記録を見て、危険箇所や見どころをチェックしてみてください。また、山行記録を登録いただくと自分の歩くペースもわかりますので、同じようなペースで、行きたい山に行っている人をフォローしていただくのもいいと思います。また過去に自分が行ったルートの長さや標高差などのパラメータをもとに、同じようなレベルと思われる記録を提案する「山コンシェル」の機能もありますので、そのあたりも参考にしてみていただければ。

多くの方が山へ登られる一方、2015年の山岳遭難件数は2508件で、統計を取り出して以来最多でした。改めて登山計画の必要をどう感じていますか?
的場:
「ヤマレコ」では登山計画書を簡単に作れてネットで提出できたり、救助費用の補填のための山岳保険や、家族が下山遅れを察知できるような下山連絡、アプリと連携した現在位置の特定システムの提供など、安全に登山を楽しむ活動を広めています。登山をする上で計画を立てる必要性は、山岳事故を起こさないようにするためです。事前に地図を見ておき、何時にどこに行けなければ引き返す、などの事前のルールを作っておくことで、道迷いなどのリスクを避けることができます。地図を見て、等高線から尾根や谷の地形や急峻さを事前に知っておくことで、そのリスク回避の判断ができるようになります。計画を立てることで最悪な状況を回避できるので、そのためにもみなさんに計画を立てていただきたいと考えています。
昭文社の『山と高原地図』とのコラボサイト「ヤマプラ」もその点で役立ちそうでしょうか?
的場:
昭文社さんの方から、地図のデータを使って登山者に役立てるためのサービスを作りたい、というお話をいただき実現したのが「ヤマプラ」です。そのとき、地図に定評のある昭文社さんのデータと、ネットのサービスを作ってきた実績と多くの利用者の近い場所にいる「ヤマレコ」が融合すると、より登山者にとって使いやすくいいサービスが提供できるのではと考えました。慣れ親しんだ『山と高原地図』で、コースタイムを自動で計算してくれて、それを計画として提出もできる。そしてそれが無料で使えるという状態なので、日程が決まっていない登山も含めて、多くの方が登山のプランを立てるために使っていただいています。実際に計画書まで作らずに下書き保存をしているものが多くあるのもその用途が大きいからだと思います。すぐに山へ行けなくてもプランを立てて行った気分になる「エア登山」という楽しみ方をされる方も多いですね。

最近はどのように登山を楽しまれていますか?
的場:
子どもを背負って家族でよく登山をしていたこともありますが、今子どもが4人いるので、家族全員で行く場合は軽いハイキングが多いですね。山に入ると「なんとか歩くしかない」環境に自然と置かれるので、子どもたちが山を通じて成長してくれているのを見ることができるところもうれしいですね。上の子どもたちは大きくなってきたので、松本市の山岳ガイドさんが引率してくれるスクールで、ほかの子どもとの交流をしながら自分で山に登るという経験もさせてもらっています。
一人で登られるときもありますか?
的場:
自分個人としてはアプリのテストなどで日帰りで山に行くことが多いのですが、テント泊のいつもとまったく違う環境で過ごす特別感が好きなので、またテントを担いで山に行きたいなと思っています。最近は天気のいい日のハイキングばかりやっているので、悪い天気のなかカッパを着て縦走して、風や雨の強いときにテントを張って中でひと息つくのもいいなと思っています。
「ヤマレコ」ユーザーはどんな登山の楽しみ方をしていますか?
的場:
突出してこれが流行っているということはないのですが、トレイルラン人口は増えていると感じます。ほかに面白い楽しみ方としては、街中を歩いたゆるい観光の記録などもありますし、小丘のような低い山ばかり巡っている方、山の中に火消しの格好をしたリスの看板(まといリス)があるのですが、それを複数人で写真を撮ってコレクションとして公開されているような楽しみ方もあるようです。高山植物なども詳しい方が必ずいるので、写真を掲載してこの花の名前がわからない、など書いていると、コメントで教えてくれたりとか、そういう使い方もありますね。山ご飯を楽しんだり、写真を撮ったり、本当に人それぞれ楽しみ方を見出しているようです。

どういった方が登山に向いていると思いますか?
的場:
個人的にはみんな向いていると言いたいですね。だって日本の国土の7割が山で、手軽に登れるんですから。それに登山というのはその人の体力・技術にあった場所さえ選べば楽しめますので。ガッツリ体力が必要な場所に行きたいという方でも、とりあえずウォーキングで自然を満喫したい、という方でも山の中を散策するような楽しみ方もあります。
「ヤマレコ」ユーザーはどんな方が多いですか?
的場:
「ヤマレコ」に記録を残すという意味だと、みんなのために細かく記事を書いてくれるマメな方がどうしても目立ってしまうのですが、単に行った場所を忘れないために残すという方もいますし、全ルート図で自分の行った場所をつないでいく楽しみ方をされている方もいらっしゃいます。記録を残すには山に登らなくてはいけないので、ある程度山に継続して行っている、という方がどうしても多くなりますね。
最後に今後の展望を教えてください。
的場:
最近はネットに加えてスマートフォンの地図アプリなど、山の中で使える便利なものが増えてきて、より安全に登山ができる環境になってきていると思います。「ヤマレコ」としてはITの力を使って、登山を楽しむみなさんが山に登る前から、登り終わって次の山に登るといった経験を積んで山の楽しみ方を発見し続けられるような、みなさんに寄り添ったサービスを提供したいと考えています。まだ初心者から中級者あたりを想定した計画や記録・地図アプリなどの一部の機能しか提供できていませんが、最終的には登山を本当に始めるところから、上級者に成長するまでのライフサイクルの助けになるサービスにできればと考えています。

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