夏といえばビール!だけじゃない?「夏に飲む日本酒」がブームとなっています。ここ数年、多くの酒蔵から「夏酒」として夏向けの日本酒が発売されているんです。今回は、利き酒師の佐藤真貴子さんに、おすすめの夏酒と、その楽しみ方をレクチャーしていただきました!
夏といえばビール!だけじゃない?「夏に飲む日本酒」がブームとなっています。ここ数年、多くの酒蔵から「夏酒」として夏向けの日本酒が発売されているんです。今回は、利き酒師の佐藤真貴子さんに、おすすめの夏酒と、その楽しみ方をレクチャーしていただきました!
利き酒師とは?
利き酒師は日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が育成・認定している資格です。ワインにおけるソムリエのように、日本酒の知識、提供方法、もてなし方などの知識を備えたまさに「日本酒のプロ」。
お客様の好みに合せた日本酒を提案したり、食べ物との相性をアドバイスしたりといったことも得意としています。
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![]() 日本酒で「遊んでみる」ともっと楽しい! ![]()
日本酒は、そもそも種類がたくさんある上に、飲み方によって味の感じ方が大きく変わるものです。さらに個人の好みもありますから、一概に「これがおいしい」「これはおいしくない」という評価ができるものではないと思っています。
だからこそ、一つの日本酒でおおいに「遊んでみる」ことをおすすめしたいと思います。
例えば、日本酒はソーダ割りにしても美味しいということをご存知でしょうか?「そんなことして、蔵元さんに怒られない?」なんて言われることもありますが、実は蔵元さんが推奨している場合もあるんですよ!
割ったり、混ぜたりの他に、飲む温度を変えてみるのも遊び方のひとつです。普通は温めない生酒をあえて温めてみたり、開栓して何日目がおいしいか調べたり、いろいろな種類のグラスで飲んでみたり…。ぜひ、日本酒で遊んで、自分の好きな飲み方を見つけてみてくださいね。 |
さて、今回私がおすすめするのは、私も大好きな新潟県、富山県、石川県、福井県の4県の酒です。これらの地域の酒は淡麗・辛口が基本。すっきりとした飲み口で暑い夏に冷やして飲むのにおすすめなんです!
ぜひ飲んでみていただきたい酒とおすすめの飲み方、そして肴をご紹介します。
夏酒1本目にはこれ!松乃井 スーパー本醸造(新潟県)
新潟県・十日町市の松乃井酒造場さんは、地元重視の姿勢を貫き、今でも大半が地元消費されていることでも有名な蔵元さんです。
このスーパー本醸造は、本醸造の造りでどこまで大吟醸の味に迫れるか、をテーマに作られているそうで、吟醸酵母を使っているので香りがものすごく豊かです!水菓子のような甘みとキレの良さは日本酒ビギナーにも、日本酒好きにも間違いなくおすすめですね。
おすすめの温度は5℃〜10℃くらい。ただ、いろいろな温度で飲み比べてみるのもよいと思います。単体でも美味しいですが、夏野菜との相性も抜群!私は野菜のてんぷらと一緒にいただくのがお気に入りです。
ぜひ、夏野菜のてんぷらと合わせて!
蔵元 | 松乃井酒造場 |
新潟県を旅するなら!
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名称 | スーパー本醸造 | |
原料米 | 五百万石・こしいぶき | |
精米歩合 | 58% | |
アルコール度数 | 18度 | |
おすすめ温度 | 5℃〜10℃ 常温でも◎ |
こちらもおすすめ!松乃井 吟醸越淡麗
こちらは夏酒としてリリースされているわけではないのですが、暑い夏の日にぴったりな酒です。
一般的に吟醸酒には香りが華やかで味わい、キレがよいので暑い日もすっと飲める、という特徴がありますが、こちらはそこに、酒米の個性も加わり、香りと味わいが一層深まった印象です。吟醸越淡麗に使われている「越淡麗」とは、新潟県が15年もの歳月をかけて開発したオリジナルのお米で、淡麗とはいいつつも、香り、酸味、味わいをしっかり出してくれます。こちらも冷やして飲んで欲しい一本です。
夏の味覚・鮎との相性も抜群です!
蔵元 | 松乃井酒造場 |
新潟県を旅するなら!
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名称 | 吟醸 越淡麗 | |
原料米 | 新潟県産酒造好適米 越淡麗 | |
精米歩合 | 50% | |
アルコール度数 | 15〜16度 | |
おすすめ温度 | 5℃〜10℃ |
開けてからの変化を楽しむ 若鶴 光DESIGN(富山県)
見た目も涼やかなこちらは若鶴 光DESIGN 吟醸生貯蔵酒といいます。
生貯蔵は火入れしないまま貯蔵するという方法で、生酒の独特の風味がのこる仕上がりになるといわれています。デザインからも伝わってくるように。シャープでキレがあり、洗練された旨みのある酒です!
私個人の感想ですが、開けたての時は少し硬く、アルコールの強さからくる辛味が伴います。ですが、開けて2、3日たつとその辛味が抜けて、甘味が立ってくる、その味の変化を感じていただけると思います。何日目が一番好きか、なんて考えてみるのも楽しいと思いますよ。
家でゆっくり飲むのが好きな日本酒好きの方にプレゼントするのもおすすめです。辛口で男性好みな味ですが、酒好きな女性にも喜ばれそうですね。
おすすめの温度は5〜6℃です。
「私は開けてから3日目くらいが好きですね」
蔵元 | 若鶴酒造 |
富山県を旅するなら!
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名称 | 光DESIGN 吟醸 生貯蔵酒 | |
原料米 | 富山県産 山田錦 | |
精米歩合 | 55% | |
アルコール度数 | 15度 | |
おすすめ温度 | 5℃〜6℃ |
みんなでワイワイ楽しみたい!夏ちくは(石川県)
夏限定の「夏ちくは」はしっかりした味わいで夏にぴったりの辛口生酒です!これはとにかくラベルが可愛いですよね。さざ波のようなボトルカット、ラムネ瓶のような水色、金魚のイラストなど、夏のイベントを彩るのにもってこいの酒だと思います。
ここは杜氏さんがいらっしゃらないという珍しい蔵です。平均34歳の若い蔵人が集まって、意欲的にいろいろな酒を出したり、こんなふうに可愛らしいラベルや瓶のデザインをしたり、地域貢献にも力を入れていらっしゃる蔵ですね。
この酒が面白いのは可愛い見た目からは想像できない、パンチの強いガツンとした味わい。氷点下レベルでキンと冷やして飲んでいただきたいです。
加水していないのでアルコールの強さがあるのですが、しっかり冷やすことでそれがなくなり、しかも旨味、甘味が感じられるようになります。するっと飲めてしまうので、飲みすぎには注意です(笑)。みんなで集まった時、パーティーやBBQの時に飲んで欲しい酒ですね。ロックで飲むのもおすすめです!
ガツンとした味わいには濃厚な牡蠣との組み合わせがおすすめ!
蔵元 | 数馬酒造 |
石川県を旅するなら!
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名称 | 竹葉 本醸造 夏ちくは | |
原料米 | 能登産五百万石・加工米 | |
精米歩合 | 65% | |
アルコール度数 | 18度 | |
おすすめ温度 | 氷点下〜5℃ ロックでも◎ |
唯一無二の香りで通好み!安本酒造 白岳仙(福井県)
紹介する中でも一番香りに特徴がある酒です。燻製のようなスモーキーな香り。私が知る中でもこんな香りのものは他に知りません。白岳仙の中でもこの吟生 吟醸生酒はビリビリするようなキレが特徴の辛口の酒。それでいて飲み口がきれいであとを引く旨味があります。
白岳仙を造っている安本酒造さんは「食べながら飲む、または、飲みながら食事の出来る日本酒(食中酒)」をモットーとしていますから、こちらもぜひ食中酒として、枝豆やてんぷら、あとはさっぱりした鳥肉などと一緒に召し上がって欲しいですね。
かなり通好みな印象ですが、男女問わずこの香りには驚いていただけると思いますから、是非一度飲んでみて欲しいと思います。
日本酒好きな大人の男性向けのギフトにはもちろん、普段はあまり日本酒を飲まない方やスモーキーなウィスキーが好きな人にも試してみて欲しい一本です。
枝豆など定番のつまみもぐっと美味しく!
蔵元 | 安本酒造 |
福井県を旅するなら!
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名称 | 白岳仙 吟生 吟醸生酒 | |
原料米 | 福井県大野産 五百万石 | |
精米歩合 | 55%・58%(麹米・掛米) | |
アルコール度数 | 15〜16度 | |
おすすめ温度 | 氷点下〜5℃ ロックでも◎ |
![]() シーンに合わせて器を変えてみよう! ![]()
日本酒を飲むときの器はどんなものを使われていますか?普通のグラスでも良いのですが、やはり日本酒用の器を使ってみていただきたいと思います。選ぶときには見た目だけでなく、手のひらで包んだ時の重さや器の厚みなどにも着目してみてください!今回は、夏酒にぴったりな3種類の器をご紹介します。
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![]() 美味しく飲むために! 日本酒を買ったら守って欲しい3か条 ![]()
1, 冷蔵庫で保存、これは絶対!
もうかなり認知されているとは思いますが、日本酒の保存は冷暗所、冷蔵庫での保存をおすすめします。日光や蛍光灯光は酒の成分を変化させてしまうのでできるだけ避けてください。箱に入れる、新聞紙で包むなどで対策を。特にお酒の中に菌が生きている「生酒」は要冷蔵です!
2, 明けた後は1週間で飲みきる!
日本酒は一度開けると酸化や発酵でどんどん味が変わってしまいます。一度栓を開けたら基本的には1週間で飲みきるのが美味しく飲むためのコツ。もちろんその間も冷蔵庫で保存してくださいね。
3, 空気に触れさせないよう注意すると長く楽しめる!
できるだけ空気に触れさせないようにするためには、まずは「縦向きで保存」。また、ワイン用として市販されている空気抜きを使って栓をすると、開けたての風味をより長く楽しむことができます。
注ぎ口にラップをして輪ゴムで止める方法もお手軽でお勧めです!
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日本酒は知識がなくても楽しめますが、「もっともっと美味しい日本酒を飲みたい!探したい!」という方は、ぜひ日本酒の作り方や種類についても知っておいていただきたいと思います。ここでは、簡単に日本酒のことをご説明します!
※火入れとは? ![]() 火入れとは、出来上がった酒を加熱すること。直接火にかけるのではなく、多くの場合60〜65℃くらいのお湯で間接的に加熱します。火入れをすることで酒に含まれる酵素の働きを止めそれ以上発酵しないようにします。また、酒の香りや味わいを悪くする菌の殺菌という意味合いもあります。
ちなみに火入れは、通常2回、貯蔵用のタンクにいれる前と、瓶詰めをする前に行われます。火入れの回数によって、出来上がった酒の呼び方が変わり、それぞれ
一度も火入れをしない酒…生酒
瓶詰め前のみ火入れを行った酒…生貯蔵酒
貯蔵前のみ火入れを行った酒…生詰酒
と呼ばれます。
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「大吟醸」ってどうして高級なの?お酒の種類と呼び方について
純米大吟醸 | 精米歩合50%以下、醸造用アルコール添加なし。 |
大吟醸酒 | 精米歩合50%以下、若干の醸造用アルコールを添加。 |
純米吟醸酒 | 精米歩合60%以下、醸造用アルコール添加なし。 |
吟醸酒 | 精米歩合60%以下、若干の醸造用アルコールを添加。 |
本醸造酒 | 精米歩合70%以下、若干の醸造用アルコールを添加。 |
純米酒 | 精米歩合による規定なし。醸造用アルコール添加なし。 |
取材協力:方舟 銀座インズ店