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石川県、福井県、岐阜県にまたがり、2000メートル級の山々が連なる「白山」。山麓一帯は、豊かな自然と地元の里山文化に触れることができる一大観光エリアで、登山やトレッキング愛好家が多く訪れています。実は2017年、白山は開山1300年の節目で大注目されているんです。今回は、そんな白山の魅力や楽しみ方をご紹介。アルピニスト・野口健さんにも白山の素晴らしさを語っていただきました。ぜひこれからのレジャー計画の参考にしてみてください!

プロフィール
野口健
アルピニスト。ヒマラヤを中心に登山活動を行うかたわら、エベレストや富士山の清掃活動、シェルパ基金、写真展開催、写真集出版なども行う。亜細亜大学・了徳寺大学客員教授。

●野口健オフィシャルサイト
http://www.noguchi-ken.com/

まず、白山についてよく知らないという方のために、基本的なところからご紹介します。白山は石川県、福井県、岐阜県にまたがる、標高2000メートル級の山峰の総称です。北陸地方の中では標高の高い山なので、夏でも残雪があり、「白い山」として遠方からでも認識できます。白山一帯は国立公園になっており、ユネスコの生物圏保存地域に指定されるなど、自然環境は国際的にも高い評価を受けています。
特に注目すべきは山頂付近の高山植物の豊富さ。日本有数の花の山としても知られていて、夏には高山植物の花畑が広がります。中でもクロユリは日本一の個体数と言われていて、群生する様子は圧巻です。これからのレジャーシーズン、登山やトレッキングに訪れるのにうってつけです。

日本は昔から山を聖地として崇める山岳信仰があります。白山も例外なく、古くから多くの人に崇められてきました。白山開山の祖と言われているのは、奈良時代の僧・泰澄です。白く輝く白山を遠く越前国から望みながら修行していましたが、ある日、天空に現れた貴女(白山神)のお告げに従って前人未踏の白山を目指し、ついに登頂を果たします。それが今から1300年前の717(養老元)年のこと。今年はちょうど開山1300年にあたるメモリアルイヤーなのです。
日本古来の神道と、海を渡って日本に伝えられた仏教を融合させた「神仏習合」の思想が白山信仰の特質です。泰澄の白山登拝をきっかけに、その後多くの人が修験道の場として山頂を目指すようになりました。泰澄の強力な霊験が天皇の病を祈祷で癒したり、疫病の流行を食い止めたりしたことから、人々を救うとして、白山信仰はやがて日本全国へと広がっていきます。各地にある3000を超える白山神社があることからもその人気の高さが伺えます。富士山、立山と並び日本三霊山に数えられる白山、パワースポットとしても人気なので訪れるだけでご利益がありそうです。

現在は山岳レジャースポットとしても人気の白山。歴史や絶景など、この聖なる美しき山の醍醐味を体感するには実際に登るのが一番です。実は白山には魅力あふれる登山ルートがたくさんあります。登山口は石川・岐阜・福井の各県にあり、かつての修行者が辿ったルートや絶景が楽しめるルートなど、趣もさまざま。レジャーとして楽しむためには、しっかり装備をして、経験や体力に応じて季節や天候を選んで臨みましょう。

ゆるやかなルートながら、本格的な登山の準備をしてください。晴れていても、急に雨が降ることもあるので、雨具などを忘れずに。初心者は必ず経験者と一緒に登りましょう。また、マナーとしては決して登山道から外れて花畑などに足を踏み入れないこと。白山一帯は国立公園なので、草木一本でも取ることは禁止されています。そして白山は全国の山で行なわれているゴミ持ち帰り運動の先駆け。ゴミの持ち帰りに協力を。

さらに2017年7月1日の夏山開きから白山への登山届提出が義務化されています。対象は火口から半径4km以内に入る登山者で、名前や住所、登山の期間・行程、緊急連絡先、飲料水や食糧などの装備品の報告が必要です。無届けや虚偽の記載で入山した場合は罰金・罰則があるのでご注意ください。

インターネットからの提出も可能です。
http://www.pref.ishikawa.lg.jp/bousai/bousai_g/hakusan_kazan/jorei.html

山のことなら、アルピニストの野口健さんにおまかせ。実は野口さんも白山を愛する登山家の1人です。そこで野口さんに、白山の魅力について伺いました。読んだらすぐにでも白山に行きたくなること必至です!

白山の魅力は、と聞かれてまず思い浮かぶのは、五感で感じられる植生の豊かさです。特に初めて登ったときは、ヒマラヤから下山してまもなくだったこともあり、高山植物の匂いが印象的でした。氷河の中にいると匂いに飢えて、鼻が敏感になるんです。それは、命がないところには匂いが存在しないから。白山を歩きながら、命があるところに帰ってきた喜びをかみしめたことを思い出します。しかも、多彩な匂いがある。湿原があるかと思えば、御前峰から下ったところにはいくつもの池が点在するポイントもあるし、歩いていると景色の変化が多いのが面白いところ。写真を撮る人にとっては絶好の撮影スポットだと思いますよ。美しい高山植物の種類も豊富ですしね。
植物の美しさがすっと心に染み入ってくるのは、ゴミが落ちていないということもあります。特に、地元の登山者は白山に敬意を抱いているので、ゴミを見たらサッと拾うんです。しかも、自分たちで持ち込んだものだけでなく、登山中に購入したものの包み紙やビニール袋まで持ち帰るのが習わし。白山を神体山として祀る白山比咩神社によると、おそらく日本で最初に清掃運動を始めた山が白山だろうという話でした。

白山に登る野口さん。観光地化しておらず、純粋に登山を楽しめる雰囲気も魅力と話す

1300年前に開山するずっと前から、信仰の対象として暮らしのなかにあったというストーリーがある白山。地元の人たちが山に対して特別な想いを抱いていることは、登山中、すれ違う人に「ようこそ」の言葉をかけてもらえることからもよくわかります。「私たちの山へようこそ」。その気持ちがあるからこそ、美しい自然をみんなで守っているし、白山もそれに応えるかのように登山者を温かく迎え入れてくれている気がします。 登るなら断然、初夏がおすすめですね。盛夏になる前のほうが植物の種類も多いから、歩いていて楽しいと思いますよ。それと、山登りって一般的には晴れている日が望ましいものですが、白山の場合、雨が降っていても楽しめるのが特徴です。湿原のポイントだと特に美しいし、霞がかった景色はとても神秘的ですよ。 それから、山頂ではみんな静かにご来光を待っているところにも好感をもっています。大騒ぎしている人が一人もいない。こんなところも、白山が長い歴史のなかで霊峰として敬われてきたんだなと感じる瞬間です。

野口さんいわく、親子での登山もおすすめとのこと。白山での親子登山も企画しているそうなのでぜひ一緒に登頂してみては?


山頂からご来光を拝む。「白山には絶対的な存在はないが、さりげなく素敵なものがあるんです」と野口さん

詳しくはこちらもチェック!

ぐるっと白山1300年特設サイト
http://www.g-hakusan.gr.jp/

登山ルートの詳細や周辺観光情報も!「まっぷる白山」



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