MAPPLE×新しいスタイル

新たな海外旅行向け現地オプショナルツアーの予約・販売代行サービスとして当社が提供する「MAPPLEアクティビティ」。「旅ナカ」(現地)で、より旅を楽しむためのサービスである当事業は、現地のアクティビティ参加を安全にサポートするほか、各国で実際に訪れることができるデスクを開設するに至っている。今回はこの新事業を立ち上げたアウトバウンドのトップリーダーである事業本部長の上原に、新事業の方向性や「旅ナカ」市場の可能性について話を聞いた。

「旅ナカ」市場へのアプローチで旅行客を循環

今までも昭文社では、ガイドブックなどで現地の情報をお伝えし、日本から出発する方にアプローチを行っていました。しかし、現地に行ってからのサービスはありませんでした。今回の事業は、昭文社のメディアを通じて海外旅行に行かれたお客様に対し、現地での予約手配のサービスまで一貫して行うものです。

旅行客の行動については、「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」という段階ごとのアプローチがあります。「旅マエ」は、ちょうど旅行会社に行かれて、行き先を選んだとき。航空券を申込んでから実際に出発する1週間前くらいまでの間で当社の出版物などが売れている期間です。そのあと、出発されてから現地での期間が「旅ナカ」。実際に現地で好きなツアーを申し込んで、好きなものを食べて、遊んでいただく。ここで思い出を刻んでいただき、SNSに載せるなり、口コミで広げるなり、口コミサイトに書いていただくのが「旅アト」になります。この「旅アト」で紹介された思い出が多く集まる場所に新たな人が集まることで、また「旅マエ」につながるという風に循環しているんです。

今回私たちはこのなかで「旅ナカ」で旅の思い出づくりを提供し、SNSなどで思い出に刻んでいただいて、それを見た方がまた私たちのサービスに戻っていただけるような循環を考えています。「旅ナカ」のメインとなるアクティビティについては、予約サービス「MAPPLE アクティビティ」を通じてマーケットを見つつ進めています。

ハワイとグアムに現地ラウンジをオープン

「MAPPLEアクティビティ」は2017年7月からWEBサービスを開始したのですが、現在はハワイとグアムにおいて、現地で安心して旅を楽しんでいただけるように、現地サポートデスク(※1)を設置しています。ハワイラウンジとグアムデスクと呼び方を変えているように、サービスに関しては用意されているものが違う部分もありますが、ハワイラウンジでいえば、小さなお子様がいらっしゃることも多いので、ベビーカーの貸出、お子様がビーチで遊べるおもちゃ(お砂場セット)の貸出のほか、Wi-Fiルーターの貸出、コーヒーやエスプレッソの無料提供などをご用意しています。

※1…ハワイラウンジ利用には「昭文社発行のグアム・ハワイ関連誌をお持ちの方」「MAPPLEアクティビティでツアー予約をされた方」「ラウンジでツアー予約をされる予定の方」が対象になります。

ほかにもラウンジを有する企業はいくつかありますが、他と比べるとツアー販売を全面に出してないところが全く違うと思います。他の旅行会社のデスクやラウンジと呼ばれるところは、ツアーをしっかり売ってお金を稼ぐ目的があるので、行ってみると事務所のようであったり、ツアーの料金表があったり、マリンスポーツのパンフレットが並んでいるようなイメージがあります。しかし、私たちが用意したラウンジは一切そういったものではなく、無料で貸し出しているiPadやまっぷる、ことりっぷをご覧いただきながら情報収集をしつつ、カフェを無料で使っていただくような感覚で過ごしていただき、そのなかでお客様が明日のご飯のことが気になればその場でご予約も可能ですし、せっかくハワイに来たからスカイダイビングに挑戦してみたいと思えばご予約できる。くつろげるサービスを提供すると同時に、現地に精通したスタッフがおすすめの観光情報や食事、アクティビティをご案内させていただきます。いわば、昭文社のガイドブックをリアルに体験できる場所、と言ってもいいかもしれません。

事業を通してお客様により満足感を与えたい

例えばハワイは2016年に日本人が150万人くらい訪問していて、2017年はさらに10%増くらいになっている。相当な人数が行かれている人気スポットです。しかもその150万人のうち、50%はリピーターなんです。リピーターが75万人もやってくる場所はなかなかなくて、その75万人の人は、2回、3回、4回と何度もいらっしゃいます。リピーターになりやすい地域で当社のラウンジをご利用いただき、サービスにご満足していただくことで、SNSや口コミ、ブログ等に書いていただき、次に来た際にもまた昭文社のサービスを利用していただく、いわば昭文社フォロワーになっていただきたいと思っています。

友達同士や会社で来られるグループのお客様などは、現地での予定を相談する時間がほとんどないので、ハワイに来てからどこかの場所でみんなで話をするケースが多いです。現地で「どこに行けばいいのか、何をしようかと悩まれるようなお客様」というマーケットも存在していると考えており、そうしたお客様にはぜひラウンジに来ていただきたいと思っております。

大きなネットワークを持った大企業では、まず日本の店頭で旅行を販売し、現地ではそれを迎えてくれる人がいて、アクティビティを販売してくれる。一方オンライントラベルエージェンシーはインターネットだけに特化していて、ムダなものを省いている。料金は安いけれどそれ以外のものは何もついてこない。どちらも現在の市場で成功しているモデルだと思います。一方当社は、「日本からアウトバウンド向けの旅行販売(パッケージ旅行・個人旅行など)はしない」、「現地発着型ツアーだけに特化する」、「WEBサイトでの販売を中心とするが、旅先でお客様の旅のサポートをする安心サービスを提供する」としています。

今から後発で事業を始める私たちがやらなければいけないのは、デジタルとアナログの要素を組み合わせ、現地でしっかり満足感を与えること。「旅の思い出は現地にたまっていく」というところにフォーカスをして、実際に旅行中に満足感を味わっていただかないといけない。ただツアーを売るだけでは、リピーターにはなってくれないと思っています。なので、私たちは、入り口はネット(デジタル)を利用して販売をしていますけども、行った先のおもてなしはアナログなサービスが必要だと考えています。ラウンジのようなアナログなサービスがお客様の思い出づくりに役立つことによって、他企業のサービスと差別化されていくと思っています。

先日、お客様が来店された時に「ツアーデスクがあってよかった」という声を直接いただきました。昭文社のガイドブックを頼りにグアムに来ていただいたのですが、現地に「MAPPLEアクティビティ」のデスクがあって、日本人がちゃんといて、アクティビティを申し込めたということにすごくほっとされていました。「あってよかった」と海外で思っていただけるのは私としてもとても嬉しい限りです。

今後は沖縄やASEAN諸国でも展開

海外旅行市場では、航空券やホテル等の海外渡航費用よりも、実際に現地に行かれてから、買い物や食べ物、アクティビティ等で消費される費用の方が一般的に多いので、そういう意味では「旅マエ」の旅行市場よりも「旅ナカ」市場は何倍もあることは間違いないと思っています。事業規模に関しては、初年度でグアムとハワイ合わせて売上1.6億ぐらいを予定していましたが、現状好調で、このままいくのであればハワイで1.5億ほど、グアム1億ほどで初年度で2つ合わせて2.5億ぐらいはいくのではないかと予測しています。

また、今後は国内ですが沖縄のツアー販売も開始します。沖縄の観光客の1/3は訪日の中国人の方なので、インバウンドの訪日外国人向けの沖縄のツアーも販売する予定でいます。さらに今、シンガポールにも会社を開設し、現地駐在員がバリ島、フィリピン、セブ島などASEAN諸国の調査を行っています。マーケットが存在しているのであれば、来年の2月から3月にASEAN11都市で現地ツアー販売を開始しようと思っています。

事業本部が4月にスタート、この時期ですでにハワイ・グアム・シンガポールに会社を設立、実際に2つの都市で12名の正社員がお客様をお迎えしている状態まできています。また、年内には沖縄がスタート、さらに年始には東南アジア11都市での展開を目指しています。これに合わせて、ペイドメディアとなるWEBサイトを2つローンチさせ運用開始、まっぷるリンクや当社の雑誌媒体を始め、協業できる他社との提携も多数進めています。実験や検証に時間をかけてはいないですが、後発で始まっている事業ですので、時間をかけるだけ失敗するリスクは高まると思っています。私たちが勝てると思える強みを理解しているので、軸がぶれないように注意を払いながら全速力で走っています。チームのメンバーともそうした点は共有しており、一丸となって進められると感じます。

おすすめアクティビティはフォトジェニックツアー

夏のシーズンはダイビングなど人気ですが、これからの時期はフォトジェニックな場所をめぐるツアーがとてもおすすめで人気です。例えばハワイのアラモアナショッピングセンター近くのカカアコの周辺は、すごくおしゃれなビルやウォールペイントがあり、写真としてとてもかっこいいです。そういう場所をめぐるツアーを「MAPPLEアクティビティ」でも一押しの商材として企画しています。

カカアコウォールアート&ハレイワ天使の羽インスタジェニックツアー

旅行という産業のなかでは、お客様の思い出や楽しみが現地にすべてたまっていきます。昭文社のメディアを通して海外に行っていただいて、「MAPPLEアクティビティ」や現地のデスクをご活用いただき、旅の思い出をぜひ昭文社と共に残していただければと思っています。

<プロフィール>
上原 嗣則
大学卒業後、ハワイに渡り起業。ダイブショップや旅行会社経営の経験を経て、帰国。その後はIT会社の代表を長く務める。現在、当社の執行役員デジタルメディア事業本部長を務めている。