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  3. デパートを偏愛する放送作家 寺坂直毅流デパートの楽しみ方

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「胸騒ぎのデパート」の著者でもある寺坂直毅さんに、デパートの魅力と楽しみ方を伺いました! 幼少期から、デパートに通い続け、地元宮崎はもちろん、全国のデパートを巡ってきた寺坂さんならではのユニークな視点で語られるデパート。これを読んだら、あなたもきっとデパートに行きたくなるはず!?

プロフィール
寺坂直毅(てらさかなおき)

1980年宮崎県生まれ。放送作家。「やりすぎコージー」などを担当。幼稚園の頃からデパートに通い、いままで訪れたデパートは全国250軒以上。地元、宮崎山形屋への思い入れも強く、2008年「山形屋大使」に任命された。デパート以外にも、地図、紅白、徹子の部屋に偏愛ぶりを発揮している。2009年には「胸騒ぎのデパート」(東京書籍)を上梓。

デパートって、見た目はビルなのに、中に入ると玉手箱みたいで、ウキウキしますよね。子供だった僕は一瞬に恋に落ちて、実家の三軒隣りが宮崎山形屋というデパートだったこともあって、もう毎日のように行っていました。公園なんか行かないで、ひとりでデパートばっかり。エレベーターガールにこっそり飴をもらっては、有頂天になっていましたね。
そして、小学校2年生のときに、初めて地元以外のデパートに行きました。実はアレルギー性鼻炎がひどく、名医を訪ねるために広島まで行ったのですが、JR広島駅にならぶ、三越、天満屋、福屋、そごうにただただ圧倒されましたね。宮崎のデパートとはあきらかに規模が違って、シャンデリアや大理石がふんだんに使われた豪奢な建物たち。完全に心を奪われ、それから全国のデパート巡りの旅がスタート。寺坂家恒例の父との二人旅は、1日目は観光、2日目はデパート巡りというのがお決まりでした。
豪華なしつらえや装飾もデパートの魅力ですが、当時の僕はエレベーターとエスカレーターがとにかく好きで、好きで。子供だから、お買い物するんでなく、ひたすらエレベーターに乗ったり、エスカレーターで階を移動したりするのが定番コース。各店舗のエスカレーターの手すりの色の違いなんて、本当に役に立たない無駄な知識ばかりが溜め込んで、、。帰りにインフォメーションデスクで紙袋をもらって、大切にコレクションしていました。

① 前日の閉店後に行き、シャッターを降りた外観を見てイメージを膨らませる
② 当日はまずはデパート近隣のショッピング施設に行き、その土地の空気感をキャッチ
③ 正面玄関もしくは、地下道直結の入り口など、一番人気のエントランスから入る
④ 1階の空気、匂いを存分に堪能する
⑤ エスカレーターで上階へ
⑥ お土産に下着や靴下を購入し、エレベーターで降下しフィニッシュ

なんで、わざわざ閉店後に行くかというと、シャッターが締まり寝静まったデパートを見て、中をいろいろと想像するんです。どんなシャンデリアがあるかな、エレベーターは3台くらい並んでいるかなとか。もちろん、夜は建物としての風格をじっくり堪能もできるからおすすめです。
当日も、いきなりデパートには行きません。まずは近隣の商業施設をくまなくチェック。イオンやダイエー、ショッピングモールに行って、その土地の空気感を知るわけです。そして、大トリであるデパートに行く。もう、紅白でいうところのサブちゃんですね、デパートは。事前に一番賑わっているエントランスを調べておき、そこからきちんと入店するのが僕の流儀です。
デパートに入ったら1階を軽く流して、ぜひその匂いを嗅いでみてください。化粧品と革小物の匂いが混ざった一階特有の匂いはたまりません。ちなみに、関東は化粧品売り場が1階にありますが、関西のデパートの一階はアクセサリーなどの雑貨の取り扱いが多いので、匂いがまた違うんですよ。
そして、必ずエスカレーターで上階へ。エスカレーターを降り立つ場所というのは、いわばそのフロアの玄関です。フロアの特徴を表すディスプレイが施されていて、華やかなムードが楽しめます。紳士売り場まできたら、記念に靴下か下着を買い、帰りはエレベーターに乗ります。最近はエレベーターガールが少なくなって、寂しいですが、たまに居合わせるとやっぱり特別な気分になりますね。
 

最近、改めて注目しているのはデパートの大食堂です。和食も洋食も取り揃えていて、店舗の入り口にサンプルが並ぶ、あの大食堂。最近はイタリアン、そば屋、鰻屋なんて専門店に分かれ、大手チェーン系のテナントが多い食堂街ですが、昔ながらの大食堂はやっぱりいいですね。オリジナルの洋食があったり、ずっと変わらないメニューがあったり、ちょっとノスタルジックな雰囲気もいい。正直、すっごい美味しくなくたっていいんです。普通の味なんだけど、デパートで食べるから、それだけで特別。子供の頃から親しんできた味って、その街のシンボルなんですね、きっと。金沢の香林坊大和のハントンライスなんて、もはや郷土料理化しています。
 もうひとつのおすすめは、特産物ばかりを集めた専門店。地方のデパ地下には、かならずその県や地方の名産ばかりを集めた店があります。大分のトキハ本店なんて、地下二階すべてが「大分ふるさとの味 街の駅トキハ」という県産品のフロアになっていますよ。その街を長年見てきたやり手の百貨店バイヤーが県内から集めてきた品物ばかりですから、お土産を探すのにうってつけ。空港や新幹線の駅のお土産店では出会えないこだわりの名物が並びます。もちろん、お土産用に包装紙に包んでもらうことも忘れずに。わざわざデパートで買ってきた、という行為がいいんですから。

小学校の高学年になるとデパート好きが高じて、自分の理想とするデパートの設計図を作り始めました。訪れたデパートのいいところを取り入れて、フロアを設計していくのです。ちなみに、名前も決めていて「アイアム・テラサカ」。これは実家の毛糸屋の屋号からとったものです。場所も架空の土地ではなく、宮崎の実家近くの土地を予定しています。勝手にNTTが建っている場所を再開発したりして(笑)
現在の設計図は小学6年生から書き足し書き足ししてきたものです。増築して、本館と別館を連絡通路でつなぐなど、本物のデパートらしいでしょう?
本館、アネックス館、文化館、新館からなり、本館は建物が古くなったので、NAVIA館としてテナントを入れたり、文化館はホテルとシネコンに変わったりと時代性を反映して更新しています。
実は一度だけ、デパートで働こうと、地下の食品売場でアルバイトをした経験もあるんですよ。でも、デパートはお客様の立場で行ったほうが何倍も素敵だし、ひとつのデパートに命を捧げることもできなくて、すぐにやめちゃいました。

全国のデパートを旅するようになって、父親から「広域マップル全国版」をプレゼントされたのがきっかけで、地図も大好きなりました。行ったことのない土地のデパートを蛍光ペンで囲んでみたり、新幹線駅からの行き方を考えたり、もうずっと眺めていましたね。刷り込みじゃないですが、地図といえばマップル一筋です。なにがいいって、デパートの名前の下にきちんと正式ロゴを記載しているなど、無駄に細かいところがいいんですよ(笑)。
あと、マップルの書体も好きです。当時は、愛してやまない紅白歌合戦の歌詞テロップと同じ丸ゴシックをマップルの地図でも採用していたはず。主張しすぎないのに、演歌からロック、アイドルソングまでを受けとめる丸ゴシック。最近は、マップルも紅白も明朝系のフォントに変わってしまい、それも時代の移り変わりかなぁなんて一人で納得しています。
小さい頃から地図に親しんでいるからか、今でもドライブのときは、前もってスーパーマップルデジタルで地図を出力して持っていきます。カーナビやGPS
じゃ旅している感覚がしなくて、いやなんです。地図を頼りに目的地に行くというRPG感を感じたくって。やっぱり地図っていいですよね!

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