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日本はもとより、世界の観光エリアを楽しく、活き活きと紹介する昭文社のガイドブック。なかでも「写真」は、人・モノ・場所の魅力を伝える重要な要素です。今回は「ことりっぷ海外版」の撮影を担当したカメラマンが登場! 体験談や撮影裏話からその海外旅行術を聞きました。きっとあなたの海外旅行にも役立ちますよ!

美しいオーロラの写真がきっかけ

若い頃の旅のおかげで写真に興味を持ちました。大自然に憧れてカナダに渡り、その圧倒的な自然に深く感動。自然を写真に残したいと思うようになり、北極圏で暮らす中でオーロラの写真を撮ったことがきっかけで、職業としてカメラを持つようになりました。カナダ暮らしを終え、日本に戻って本格的に雑誌のカメラマンとして働き始めました。

「ことりっぷな写真」の撮り方のコツは?

ガイドブックの撮影には、雰囲気重視のショットから、絶対必要なショットまで、それぞれ異なった重要度があります。撮影現場では必要なショットから撮るのがセオリーですが、撮影の現場に入るといろいろなことが起きます。予定していた取材がNGになってしまったり、逆に予定していないけども、押さえておきたいシーンに偶然出会ったり。海外での仕事は「ことりっぷ」が多いのですが、街やお店の紹介が中心の本なので、「スナップ撮影」が一番効果的です。現地では朝起きてまず散歩に出かけ、その土地を歩いて見て回ってました。カメラをぶら下げて回ると、たとえば市場にある果物を見て、この色は使えそうだとか、新しい発見があるものです。偶然見つけた撮りたいシーンを記憶しておき、最終日を勝手に「スナップ撮影デー」にして撮りまくるんですよ(笑)
旅行雑誌の撮影の仕事は、現場の空気感をまさに「切り撮る」ようなもの。カナダにずっといて、旅の楽しさは自分でもよくわかっているので、そうした自分の感性で撮った写真への思いが編集者にも通じ、誌面に採用されるととうれしいものです。

北欧へ。人との出会いが名シーンに

ことりっぷ・北欧の仕事では、デンマークとフィンランドを担当し、10日間の撮影を行いました。北欧は寒いですがカナダと同じような環境なので、性に合っていました。プライベートでフィンランドに行ったこともあったので、なじみの国だったんですが、あらためて仕事で行ってみると北欧の街並は美しく、風景や表情は日本にはないもので、新鮮に感じました。知らない人でも声をかけ、とてもピュアな気持ちでシャッターを切れるんですよね。たとえばコペンハーゲンのあるシェラン島のベルビュービーチに「灯台」があり、撮影の予定を組んでいたのですが、現地に行ってみると灯台がない。困りましたが、たまたまビーチで男の子と犬が遊んでいて、とてもかわいかったのでパシャッと撮影。するとお父さんがやってきたので灯台のことを聞いてみたら嵐で流されてしまったとのこと。残念でしたが、男の子と犬のかわいい姿が撮れました。それが50ページの写真です。


それから、あるときとてもいい写真が撮れました。4ページの下にある写真なんですが、コペンハーゲンでたまたま取材先のお店でピンクのスカートにヘッドホンを付けた男の子(?)が自転車に乗ろうとしていました。もう何も考えずにシャッターを切りました。レンガ造りの建物に自転車が添えてあるだけでも画になりますが、その状況の中で、一瞬しかない風景の表情を逃さず撮影することは、カメラマンとして常に心がけています。お気に入りの写真のひとつです。


印象的なシーンだけが人を感動させることができます。だからこの仕事、スキルはもちろん最終的には自分の心が大切で、感覚を磨くことが大事なんじゃないかと。私の場合それは旅であり自然です。自然をありのままに受け入れると、自身の中にクリエイティビティーが溜まっていくような感じがします。

楽しく、歩いて「街」を切り取る

さて、カメラマンとして「海外旅行術」をいくつかアドバイスするなら、まず「軽いカメラ」をもっていくと良いでしょうね。機材にこだわるより、できるだけ身軽で、目で見て感じたものを楽しく撮ってほしいと思います。ただし、カメラを向けると、相手によっては撮るなと言われることもあるので注意が必要です。
それから「散歩」ですね。カメラを持って朝、散歩をするんです。街を歩くといろんな風景が見えてきます。乗り物に乗るとどうしても風景が過ぎてしまいますから散歩がおすすめです。
3つめは「コンセント対策」です(笑) 仕事柄、機器の充電ができないと非常に困ってしまいます。コンセントの形状は国によって違うので、変換アダプターは必需品です。


最後に「ガイドブック」をよく読むこと。行きたい場所のチェックもさることながら、現地でトラブルが起きないよう言葉や各種手続きなど、その国の基本情報もチェックしておくべきでしょう。私自身、あるお店でカード決済のキャンセルを申し出たら、デンマーク語のレシートを見せられて困ったことがあります。

皆さん、貴重な時間を使って旅に出ます。旅行ガイドで計画を立て、限られた時間の中で観光地を巡ることになると思います。でも時々足を止めて、そこに暮らす人や街の風景をゆっくり見てください。自分だけのお気に入り場所やシーンを見つけられたら、それはとてもハッピーなこと。「ことりっぷな写真」を撮ってみてください。いい場所があったら、ぜひ私にも教えてくださいね。



「ことりっぷ・オーストラリア」の仕事で
ワイン犬と出会う


はじめてのことりっぷの仕事が、2010年に出版された「ことりっぷ・オーストラリア」とのこと。撮影を担当した「アデレード」は、教会を中心にしたとっても美しい街なんだそうです。そこで、ある農場に「ワインドック」という犬がいると聞き、興味がわいて現地まで行くことに。それが「ことりっぷ」124ページのワンちゃんです。ほかにも「カンガルーやコアラがいるワイナリー」があるとか。行ってみたいですね。

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