急ぎたい気持ちとは裏腹に車はのろのろとしか進まない-。そんな渋滞回避のためのノウハウが詰まった『道の達人 首都圏渋滞ぬけみち案内図』が、このほど出版されました。道路地図を出している地図出版社は数多くあれど、現在でも「ぬけみち」や「うらみち」のデータを保有しているのは昭文社だけ。市販されているカーナビゲーションのうち渋滞ぬけみち機能を搭載したものは、すべて昭文社のデータを利用したものです。つまり、『渋滞ぬけみち案内図』は、“昭文社でなければ作れない地図”だと言えるのです。
プロドライバーの熱い声に応えて“復活”
昭文社が初めてぬけみち道路地図を出したのは1980年代。その後、数回のリニューアルを経て長らく休刊となっていましたが、タクシードライバーやトラックドライバーなど、多くのプロドライバーの方々から寄せられた“復活”を求める声に応えて、今回、全面改訂のうえ、出版することになりました。
旧シリーズは用途別で、平日ビジネス用と休日のレジャー用の2冊に分冊していましたが、今回の『渋滞ぬけみち案内図』は、プロドライバーのニーズが高かったことを踏まえ、「平日のビジネス利用」を基本コンセプトとして1冊にまとめました。とはいえ、休日に利用することもあるでしょうし、平日と休日では渋滞の形式も全く違うので、休日利用のための情報も可能な限り収載しています。
渋滞の回避ルートとしては、平日・休日のぬけみちと、同じく平日・休日のうらみちの4種類を収載しました。ただ平日・休日別だったものを今回1冊にまとめたことで、同じ道路上にこの4種類のルートが重なる可能性が出てきました。編集で一番苦労したのは、このルートの重複をどう表現するかという点。ずいぶん悩みましたが、最終的には「平日のビジネス利用」という基本コンセプトに立ち返り、例えばメインである平日の「ぬけみち」はよく目立つ赤の実線で表示、これに対して休日の「ぬけみち」は緑色の太線で道を縁取ることなどで、すっきりと見やすい表現を実現しました。
ぬけみち・うらみちはどうやって決めるの?
ところでここまで読んできて、「そもそも“ぬけみち”や“うらみち”ってどうやって決めているの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。実はそこにこそ、『渋滞ぬけみち案内図』を昭文社にしか作れない“ヒミツ”があるのです。
ぬけみち・うらみちの基準は、昭文社が独自に作成したもので、道の幅やスクールゾーンの有無など様々な条件によって、細かくランクづけされています。以下にその一部を紹介します。
-ぬけみち選定のポイント-
(1)渋滞地を迂回する(環状道路など)
(2)曲がり角が少ない
(3)信号機が少ない
(4)踏切を避ける
(5)駅前やショッピングゾーンなどを避ける
(6)商店街や住宅団地内の通り抜けを避ける
(7)河川の堤防道路や高速の側道などを活用する
また選定の際にとくに苦労するのが次のような点です。
(1)右左折禁止などの規制がある
(2)(ぬけみちに使われないように)車止めがある
(3)途中だけ一方通行、もしくは途中だけ逆向きである
(4)ぬけみちも渋滞する時間帯がある
昭文社の地図の制作では、実際に車を使って道路を走行する実走調査を行いますが、「渋滞ぬけみち案内図」の制作では、実走調査の前に机上で地図を見ながら渋滞地とぬけみちを選定する作業があります。この仮想ルートを選択する作業には、プロとしての高度な地図の読解力が求められます。実走調査では、車の前後に搭載したカメラで道を撮影します。『ぬけみち案内図』の制作では、こうして撮影した膨大な写真を専門家が一枚一枚、ぬけみち・うらみちの基準に照らしながらチェックし、適切な道を選定していきます。また、これから道が整備されるといった、既存データが全くないケースでも、むやみやたらに車を走らせて道を探すようなことはせず、まず専門家が地図を見て候補を絞ります。
エコロジー&エコノミーなドライブをサポートします
さてドライブにも“エコ”が求められる昨今ですが、そんな時代の要請も踏まえて『渋滞ぬけみち案内図』の巻頭では、「Eco-Ecoドライブ」をテーマにしたコーナーを設けました。「Eco-Eco」とは、「エコロジー(環境)」と「エコノミー(経済)」の接頭辞。「ぬけみち」という言葉には、どちらかというとネガティブなイメージがありますが、環境や燃費の面でのメリットは決して少なくありません。例えば渋滞にはまるとエンジンがかけっぱなしになり環境に悪影響を及ぼしますが、ぬけみちを走ればそのリスクを回避でき、渋滞のイライラから解放されて精神的にも安定する。このコーナーでは、そんなぬけみちのメリットを活用して環境にやさしく、そして燃費にも配慮した快適な走りを実現するためのコツを提案しています。
ただ、どれだけ有益な情報提供をしたとしても、最後はドライバー本人のモラルによるところが大きいのも事実。道路選択にあたっては「安全であること」を最優先に考えていますが、どんなに安全な道であっても猛スピードで走るのでは意味がありません。本書を安全な走行に役立てていただきたい-。これが編集に携わったスタッフ全員の共通の願いです。安全な走りをこころがけることが、環境、経済、ひいてはドライバーの精神的安定の観点からも“快適な走り”へとつながるのですから。









