
「なるほど知図帳 日本」は、いわば “いまの日本を真空パック„ したような本。2012年版も日本の “いま„ がぎゅっと詰まっています。政治や経済といった “お堅い情報„ だけでなく、歴史・風習、旅・名産、生活、産業・交通、スポーツ・文化芸能、自然など様々なジャンルについて、“硬軟入り交じる„ テーマを図表やデータをもとに分かりやすく解説しています。
豊富な旬ネタと様々な図法で描かれた地図で、読者の好奇心と探求心に応える「なるほど知図帳 日本」。その制作の舞台裏を、創刊時から編集・制作にご協力いただいているアーク・コミュニケーションズのスタッフの方々にお聞きしました。
“えっ、そうなの?„ 意外性と気づきが満載
「なるほど知図帳 日本」がずっと保ち続けてきたコンセプトは、“いまの日本の空気感„ をしっかりと誌面に反映すること。だからこの本自体が何かオピニオンを発信したり、偏った傾向を持つようにしないことが、ひとつ気を付けている点と言えます。
それだけに、類書の中でも特にバラエティに富んだテーマが掲載されているのではないでしょうか。旅ネタやトリビアルなネタ、コミカルなネタもありますので、旅行好きの女性や雑学に興味がある若い層にも関心を呼ぶのではないかと思います。漠然とよく知っているつもりになっている日本についての “え?„ “ほんと?„ “そうなの?„ という、ちょっとびっくりするような意外性に満ちた情報を凝縮させた本、それが「なるほど知図帳 日本」です。 とはいえ、ユニークな視点や時事的なニュースだけに特化しているというわけではありません。普遍性の高いテーマや慣れ親しんだテーマもしっかりと毎年取り上げています。
ただそこは、やっぱり “「なるほど」的価値感„ を重要に考えていて、あえて誰も調べないような内容や新しい切り口で記事や解説に挑んでいます。たとえば、自衛隊とか警察、銀行などの社会を支えるインフラ組織についてこれまでにない側面からフォーカスしてみたり、海洋や火山に着目することでこれまで気づかなかったようなポイントを浮き彫りにしたり、“知的サプライズ„ を起こす内容をいつも心がけています。
知識欲と地図愛が生む “知図帳„ への想い
「なるほど知図帳 日本」のもっともユニークな点、それはやはり地図というフォーマットを使って様々な解説を展開するところでしょう。創刊からしばらくは、新しいテーマや企画をどうやって地図という表現に落とし込めばいいのか試行錯誤した時期もありました。しかし今となっては、もうただ遮二無二です(笑)。地図というフォーマットに落とし込んでみるからこそ浮かび上がる “新発見や再発見„ がきっとある。それを信じて熱に浮かされたようにひたむきに挑んでいます(笑)。
つまり、“地図で表現する„ という制約を最大限有効に機能させる切り口を常に考えているということです。たまに「これは普通は地図にしようとは思わないでしょう。無茶だなあ」なんていう企画やテーマもありますからね(笑)。そこはまさに地図との格闘です(笑)。
ただ、その結果、同じ出来事についてそれまで思いも寄らなかったような文脈が浮かび上がったり、焦点が明確になって一気に理解が進んだり、という化学変化が起きることがあるんです。そんな時、地図で表現するという「なるほど知図帳 日本」のコンセプトがとても意味のあることだと実感しますね。
最新版で日本の “経年変化„ を知る
それから、創刊から続いている継続的な情報も「なるほど知図帳 日本」を価値あるものにしている重要な点ではないでしょうか。それには、日本中の有志の方々のご協力が必要不可欠です。子白鳥の飛来を毎年観測されている協力者の方からのご連絡や、自治体や天文台など公共機関からの積極的な情報提供のおかげで、“いま„ を表現するための情報が自然に集まってくるような環境が「なるほど知図帳 日本」の周りにできはじめています。
そういう “定点観測„ と “毎年のトピック„ が多彩に入り交じるのが、「なるほど知図帳 日本」の特徴です。その年の状況や時代の雰囲気を反映して中身がゆるやかに変化していきますから、日本のいわば “経年変化„ を感じる上では最適なメディアではないでしょうか。
だから、最も楽しめるのは、ひょっとしたら昨年度版や数年前の「なるほど知図帳 日本」もお買い求めいただいた読者かもしれません。過去版と比較して読み比べると、これもまた、思いも寄らない変化を感じることができると思います。
読み比べというと、毎年新しい装幀に挑戦していますが、今年もデザインを一新しました。これまで以上に “刷新感„ にこだわり、立体的なアイコンを中心に大きく変更しています。昨年度版から引き続き掲載するページについても、新たな切り口で再構成したり、レイアウトを改善することで “新鮮さ„ を演出できたかと思いますので、毎年お買い上げいただく読者にもきっと楽しんでいただけると思います。
2012年版の特徴1「震災・エネルギー・自然」
今年の「なるほど知図帳 日本」の大きなテーマに3月11日の東日本大震災があるのは、言うまでもありません。日本の復興のためにもあの未曾有の大災害を徹底検証すること、それはこの本の使命だと考えました。
では「なるほど知図帳 日本」は、どういう切り口で “東日本大震災„ に迫るべきなのか、様々に議論した結果、やはり「なるほど知図帳 日本」の原点に立ち返り “一過性の出来事としての観点ではなく、後世に蓄積されるべき情報として多角的な面からフォーカスしよう„ ということになりました。
東日本大震災の総括という意味合いはもちろんですが、震災以降とくに注目を集めるトピックを巻頭に集め、これまでになかった「クローズアップ」というカテゴリーをつくり、原子力発電、クリーン発電、日本地震火山MAP(付録)、津波、自衛隊、漁業などの新しいテーマを設けて対応しました。
日本を取り巻く災害や、エネルギー供給の問題、それから自然科学への理解は、地図という表現にすることで、問題が非常に分かりやすくなるテーマだと思います。この未曾有の大災害をより大きな視野で捉えるという試みのためにも「なるほど知図帳 日本」の2012年版は多くの読者にご覧いただきたい内容となっています。
2012年版の特徴2「日本再発見」
震災の傷跡はまだ癒えませんが、この震災を契機に “日本を再発見しようという機運„ が高まりをみせたことも実感しています。私たちとしても、それに応えて何か前向きな取り組みができないかと考え、あえて2012年版では「観光」というトピックを大きく取り上げています。
「今こそ、日本の旅」と題し、「小笠原」「平泉」が新規登録された世界遺産を別冊付録で詳しく解説。さらに巻頭特集では、日本の知られざる名所も「自然絶景編」「歴史産業編」として紹介しています。巻末の定番「日本の百選」データも実に19テーマを24ページにわたり掲載しています。
それから、“郷土„ や “ご当地„ への関心の高まりを受けて「都道府県コラム」を誌面に新しく設けました。ここ数年、左ページの半分を使ってコラムを掲載していましたが、今回のコラムは「この都道府県に注目!」とし、トピックごとに代表的な都道府県をフィーチャーしています。自分が住んでいる都道府県についても、案外知らないことがあるものです。もちろん47都道府県すべてを扱っていますので、読者が「そうなんだ!」と驚くコラムがきっとあるはずです。
誰でも必ず、興味が湧くページがあるはず
「なるほど知図帳 日本」は、2012年現在の日本を “時代のムード„ も含めて一冊全体で表現しているメディアだと思います。そして同時に、1ページ1ページに目をこらすと、とても個性豊か。テーマに着目するとまさにバラエティに溢れています。だから、どんな年齢や立場の読者でも、どんな関心をもつ読者でも、きっとこの本のどこかに興味が湧くトピックがあるはずだと思います。
そしてそれをきっかけに、自分ではこれまで意識していなかったような情報やテーマに関心を持つようになること、それがこの「なるほど知図帳 日本」の一番の醍醐味です。時代を切り取った “断面„ には、とても不思議で興味深い模様が浮かび上がっていて、ついつい眺めているだけで引き込まれてしまう、まるでそんな感覚でしょうか。
2012年の日本を、しっかりと味わいながらところどころつまみ食いする、そんな体験ができる希有な本だと自負しています。ぜひ幅広い読者にご覧いただきたいですね。
株式会社アーク・コミュニケーションズ(東京・市ヶ谷)
ビジネス書、実用書、情報誌、ガイドブックなどを得意とする編集プロダクション。『なるほど知図帳 世界』『同 日本』をはじめ、『まっぷるマガジン 東京』『同 ソウル』『同 ハワイ』など、弊社発行のガイドブックを数多く手がけている。60名余の編集者を有し、機動力には定評がある。